札幌で第2回台湾華語スピーチコンテスト
言葉を通じ教育・文化交流も
若者を含め、幅広い年齢層の北海道民に台湾の魅力を直に知ってもらおうと昨年から始まった台湾華語スピーチコンテスト(主催・台北駐日経済文化代表処札幌分処、協力・世界日報社など)。北海道を訪れる台湾からの観光客数はここ数年、うなぎ登り。それに併せるように、道民の台湾に対する関心も高まっている。同コンテストへのエントリー数も昨年の16人から今年は22人(3人が当日、急遽(きゅうきょ)欠席)に増加。参加者は台湾での旅行や交流を中心とした体験談を流暢(りゅうちょう)に語った。スピーチのレベルも年々高まり、関係者の評判も上々だ。(札幌支局・湯朝 肇)
相互理解深め、語学力も向上/年々増すレベルに評判は上々
「北海道には昨年、台湾から50万人以上が観光で訪れました。今年もさらに増えていくと思います。ただ、私は観光客による交流も大事ですが、文化や教育さらには経済分野など深い相互交流が重要だと考えています。そこで互いの国のことを深く知るには、言葉を覚えることが不可欠。スピーチコンテストは、北海道民が台湾華語を覚えるための“呼び水”になってもらえればと思います」-7月7日、札幌市内で開かれた「台湾華語スピーチコンテスト」の主催者である駐台北経済文化代表処札幌分処の陳桎宏処長はあいさつでこう語った。
同コンテストは今年で2回目。今年のテーマは「台湾旅の感想」「私が感じた台湾の魅力について」「台湾と日本の絆」「北海道と台湾のためにできること」の四つ。参加者の多くは台湾華語を現在、勉強している人たち。その中に30代後半の主婦、60歳の年配者もいて、今後のコンテスト参加に向けて世代間の広がりを感じさせた。
今回のコンテストで優勝したのは西澤寶花(ほのか)さん(18)。今年3月に札幌市内の高校を卒業し、9月には台湾・輔仁大学商学部への入学が決まっている。コンテストで発表したテーマは「私が感じた台湾の魅力について」。高校2年生の時、初めて台湾に旅行に行った際に地下鉄で乗り場を探していたところ、初老の女性が一緒について来て、案内してくれたこと。また2度目に訪れた台湾の大学紹介のためのサマーキャンプの時にも一つ一つ分りやすく説明してもらった体験談を報告した。「台湾の人たちは日本が好きで、人情の厚い方が多い。3・11の東日本大震災の時も真っ先に日本に救いの手を出していただいたのが台湾の人たちだと報道で知っていたが、台湾を訪れて親日家の方が多いと実感した」と西澤さん、大学では企業管理を学び、将来は経済分野で日本と台湾を繋(つな)ぐ仕事に就くのが夢だと語る。優勝した西澤さんには、台湾チャイナエアラインから新千歳-台北往復ペアチケットが贈られた。西澤さんはそのペアチケットを祖父母にプレゼントするという。
今回のコンテストに対して審査委員長の陳省仁・北海道大学名誉教授は、「私が北海道に初めて仕事で来たときに比べると隔世の感がある。若い人を含め多くの人が台湾華語を勉強していることにまず驚いた。スピーチの内容もそれぞれ工夫され、聞いていて思わず台湾の風景を思い出すのもあった。ただ、台湾では会話の時には普通使わない表現があったり、また早口で聞き取れない場面もあった。最初はゆっくりでいいのではっきりと発音するように心がけるといい」と寸評した。
台湾華語は台湾の先住民が使う台湾語とは異なる。また、大陸の中国語とは似ている部分もあるが、発音や表現方法が若干異なるため、会話で通じないことも多々ある。従って、きちんと体系立てて学習する必要がある。
「今は台湾から北海道を訪れる観光客が多い半面、北海道から台湾を訪れる道民は少ない。しかし、交流が深まれば両国を行き来する人は絶対的に増えてくる。台湾華語を北海道に定着させる意味でもコンテストはバージョンアップさせて今後も続けていきたい」と陳桎宏処長は次回開催への意欲を表している。