薬物乱用防止のカギ


 昨年11月、京都市の小学6年男児が「大麻を吸った」と告白し、その後、その兄(高校1年)が大麻取締法違反容疑で逮捕された。男児は兄の部屋に入って大麻を見つけたらしい。先月には、岐阜県の高校一年の女子生徒が覚せい剤取締法違反で逮捕された。

 薬物乱用の低年齢化が「ここまで来たか」と記者は驚くのだ、未成年者による事件が相次いでも驚かない専門家は少なくない。ネットやLINEの普及によってだいぶ前から、乱用の魔の手は10代前半の子供にも迫っていることを知るからだ。

 防止活動を行っている民間団体「日本薬物対策協会」は昨年、東京都内の中学生約2500人を対象に、薬物に対する意識調査を行った。それによると92・3%は「1回で影響があるので絶対ダメ」と答え、「試したことがある」は0・2%だった。

 一方、「簡単に手に入る」22・7%、「少し苦労するが、何とか手に入れようとすれば可能だ」22・7%。そして、前出2択を選んだ生徒に「どのように入手可能か」と質問したところ、「SNSを通して」49・5%、「ネット購入サイトや掲示板など」68・6%だった。ネットが乱用の低年齢化を助長していると見ていいだろう。

 今、早期からの乱用防止教育が必要性が叫ばれているが、その教育に実を結ばせるカギは、ネット教育だろう。そうなると、学校教育だけでは効果半減で、家庭でネット使用のルール作りはもちろんのこと、親子の絆を強めて、子供の心の隙ができないようにすることも重要である。

 岐阜県の女子高校生は、母親が小遣いの使い道を正して発覚したが、小学男児の兄弟の場合、一緒に暮らしていた父親は全く気づかなかったという。子供のこれからの人生も、子供への親の関わり方が明暗を分けそうだ。(森)