「子ども食堂」の広がり
「子ども食堂」が各地に広がっている。貧困や親の病気などさまざまな事情で十分な食事ができなかったり、1人で夕食を食べている子供たちのために、月に数回、地域の人々がボランティアで食材と食事の場を提供する。
こうした場が全国各地に増え、首都圏だけでも約30カ所に上るという。今月11日には2回目の「こども食堂サミット」が開催された。
離婚による母子家庭、親の病気、虐待(育児放棄)など、家庭が抱える事情はさまざま。子供の6人に1人が貧困の中に生きていると言われているが、貧困ではなくても親が多忙でお金だけ渡してコンビニで買った弁当を食べている子供もいる。子ども食堂は、そうした子供たちが人間関係の温かさに触れる場にもなっているという。
子ども食堂ではないが、NHKテレビは昨年、30年以上前から非行少年たちに自宅で食事をふるまい続ける保護司の女性を紹介した。前途ある彼らを助けるため、まず空腹を満たしてあげたいと考えたという。
親がアルコール中毒で食事を与えられず空腹からシンナーを吸うようになった少年や、親が仕事で夕食も1人だった寂しさから非行に走った少年など、女性の元には毎年多くの少年たちが集まり、女性の愛情に触れて更生していったという。
女性が「他人の子だからといって、ほうっておくなんて考えられない」と語っていたのが印象的だった。日本はかつて、訪れた外国人が「子供の楽園」と驚嘆するほど、子供を大切にする社会だった。それは子育てをする家庭の基盤が強く、地域社会がそういう家庭を支えていたからだ。
子供の貧困、虐待の問題などを解決していくためには、やはり家庭を立て直す必要がある。そのためにも、子供たちを助けたいという地域社会の力によって家庭を支えていくことは重要だろう。(誠)