先細り傾向の理工系 人材博士課程卒者の活用を
日本では高度な専門的人材である博士課程卒者の待遇は良いとは言えない。研究職の受け皿がなく、低賃金のポスドク(博士研究員)に甘んじる人も少なくない。
とくに理工系人材は2000年以降、先細り傾向にある。学校基本調査によると、学生全体に占める理工系(理学、工学、農学系)の学生の割合は1999年度は25.7%だったが、理系離れが進み、2015年度は21.2%に下がっている。将来への不安から、修士から博士課程に進む学生も減る傾向にある。
背景には受け皿となる企業側と人材を供給する大学側とのミスマッチがある。企業側は博士課程卒者の能力を評価しつつも、「すぐに活用しにくい」「企業内外で研究者の能力を高める方が効果的」といった理由で敬遠する傾向が強い。
日本の企業風土もあり、企業の研究者に占める博士取得者の割合は4%程度で、先進諸国では低い。
技術進化のスピードは速くなっており、高度な専門職人材の重要性は増している。生産人口が減少するなか、人材育成と活用をどうするか。産業界が求める理工系人材を戦略的に育成する、産学官による本格的議論が始まっている。