教育現場のIT活用加速化 学習効果の検証は不十分


教育現場のIT活用加速化 学習効果の検証は不十分

小中高の電子黒板と電子タブレット導入台数の推移

 情報のデジタル化が進むなか、黒板や教科書のデジタル化の流れが加速している。文部科学省が公表した「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」によると、平成27年3月1日現在、全国の小中高の電子黒板約9万件(前年度比約8千台増)、約78%の学校に電子黒板が導入されている。また電子タブレットは15万6356台、前年度の2倍以上に増えた。

 デジタル化をめぐっては、推進派は学習意欲の向上、思考力や表現力の向上などを理由に挙げるが、視力の低下やネット依存の懸念も出ている。一定の学習効果はあっても、自分で書く機会が減ることで読解力や知識の定着につながりにくいと指摘する専門家もいる。

 8月に経済協力開発機構(OECD)が公表した「PISAデジタル能力調査」は、生徒1人当たりのパソコン台数と数学的リテラシーには相関関係がないこと、コンピューターの使用時間の長さによっては学習効果がマイナスに働くことを報告している。

 黒板や教科書のデジタル化は授業文化を変える大きな問題だが、学習効果の検証は十分とは言えない。導入ありきの議論ではなく、幅広い観点で丁寧な議論が必要だ。