子育て新制度控え“質のよい”保育士不足が深刻
4月から始まる「子ども子育て支援新制度」に合わせ、厚生労働省は今月を「保育士就職促進対策集中取組月間」と位置付けている。待機児童解消のため、資格を持ちながら保育士として働いていない「潜在保育士」を掘り起こし人材不足の改善を図ろうというわけだ。
昨年12月時点の全国の保育士求職者数は1万7167人。有効求人数は3万5406人。つまり保育士1万8000人余りが不足する。有効求人倍率は2.06倍で、年々高まる傾向にある。特に東京都は5.37倍と高い。求人倍率が1倍を超えている都道府県は全国で41に上る。
問題は人数確保だけでなく、保育士の質。保育現場の事情に詳しい松居和氏(元埼玉県教育委員長)によれば、幼児を虐待するような保育士でも人材不足のため辞めさせることができないケースさえある。程度の差はあっても、子供を任せられない保育士を解雇できない状況が全国7~8割の保育園で起こっている。このため、有能な保育士が辞めていく負の連鎖が起こっているという(『教育再生』平成26年11月号)。
保育園を増やしてニーズに応えることを絶対視する風潮があるが、現状のままでは子供が置き去りにされる可能性がある。