児童養護施設入所児の6割が虐待経験あり
虐待の増加により、社会的養護を必要とする児童は年々増加している。厚生労働省が5年ごとに行っている「児童養護施設入所児童等調査」によると、全国の里親委託、児童養護施設、情緒障害児施設、乳児院などに委託(入所)児童の数は47776人(平成25年2月1日時点)に上る。
このうち、養護施設が3万人、里親とファミリーホーム委託は5300人。委託(入所)の理由は、4割近くが虐待による。「虐待経験あり」という児童は里親委託で3割、養護施設で6割、情緒障害施設で7割に上る。
また親がいても、里親委託児で約7割、養護施設児では約2割が家族との交流が絶たれている状況だ。このため、在所期間は長くなる傾向にある。養護施設で過ごす期間は平均4.9年、また在所児童の平均年齢も11.2歳と年々高くなっている。
欧米では社会的養護を必要とする児童の7割超が里親などの家庭的な環境で育てられている。近年、日本でも里親委託は広がりを見せているが、全体の1割超に止まっている。
虐待の連鎖を防ぐ意味では、家庭的な環境で育てられることが望ましい。今後、里親委託や養子縁組制度が果たす役割はさらに大きくなるだろう。