「保育園落ちた、日本死ね!」、あれから6年
6年前の2月、子供の預け先がなく退職せざるを得ないママの「保育園落ちた、日本死ね!」という文言がブログで炎上した。それが国会議事堂前での母親らによるデモに発展し、その年の「流行語大賞」にも選ばれた。その時、授賞式で表彰台に上がったのが当時民進党の山尾志桜里議員であった。
あれから6年、待機児童数は5分の1に減り、全国8割の市町村で待機児童問題が解消した。あの騒動が嘘(うそ)のようである。
そもそも待機児ゼロは少子化対策として始まった。出産・育児期の女性の就業率が落ち込むM字型曲線を解消し、欧米型の台形に変われば、出生率や出生数も回復するはずという理屈だった。少子化は改善されるどころか、この30年で出生数は120万人から80万人に減り、この6年では17万人も減った。
ところが、厚労省子ども家庭部が打ち出した「新子育て安心プラン」によると、2024年度までの4年間でさらに約14万人分の保育の受け皿を整備するというのである。
女性(25~44歳)就業率82%目標を達成すれば、ジェンダー平等でOECD並みの水準に近づける。子供を預けて、女性が労働市場に参加すれば国のGDP増大になるという理屈なのだろう。
1994年の「エンゼルプラン」から、今日の「新子育て安心プラン」まで待機児ゼロを目指し、保育所をつくり続けているのである。
「こども家庭庁」4月発足に向けて検討作業が始まった。2月7日の報道によると厚労省や文科省など関係府省庁の職員を兼務させ、300人規模の体制で進めるという。兼務となれば、待機児ゼロの保育政策も継続する可能性が高い。
保育所に預けたい待機親はいても、入りたい待機児はいない。「こどもまんなか」を掲げる「こども家庭庁」の中身が問われてくる。
(光)