人の夢を育てる教師は今も子供たちの憧れ


 来週10月5日は「世界教師の日」である。国連のユネスコが1994年に制定した。一言で言えば、教師や恩師に感謝を表す日だ。日本ではそれほど馴染(なじ)みがないが、世界では60カ国ほどが独自に「教師の日」を定めている。例えばお隣の韓国は1964年に定めていて、現在は5月15日である。

 日本では、政府の教育再生実行会議が2017年に制定を提案したこともあるが、その後は話を聞かない。民間では、教師の日の普及を進める活動もある。

 最近は教師という職業へのマイナスイメージが小さくない。数年前の調査では、過労死ライン(週60時間以上)勤務の教師が、小学校で3割、中学校では6割に上っていた。

 しかも、昨年からの新型コロナウイルスの対応で、児童生徒の学習面、健康面、感染予防策で現場は気の抜けない状況が続いている。実際、最近話を聞いた若手の教師たちは、子供の成長を実感できるのが魅力だが、仕事量は厳しいと語っていた。

 ただ、教師は高校生世代には今も人気の職業に挙がっている。全国高校PTA連合会が行った調査で、高校生が将来就きたい職業のトップが教師(11%)だった。「指導してくれた先生のようになりたい」「子供の人生の大切な時期に関わりたい」「人の夢を育てる、すばらしい職業だと思う」がその理由だという(2019年「第9回高校生と保護者の進路に関する意識調査」)。ちなみに保護者は「公務員」が37%である。教師が「聖職」と呼ばれることがなくなった。しかし、子供の教育を担う価値ある職業であることは確かだ。

 明日行われる自民党総裁選挙では、子供政策についての議論はあったが筆者が聞いた限りでは、教育政策は議論のテーマにはなっていなかった。もちろん管政権でも教師の働き方改革を含めて、政策を打ち出してきた。次の政権も国の未来を担う人材育成という明確な教育観を国民に訴え掛けて、教育政策を進めてほしい。

(誠)