昔の体育の日の「全町大運動会」が懐かしい
台風14号の影響で10日(土)に予定されていた孫の幼稚園の運動会が11日に順延された。10月10日といえば、かつての「体育の日」。筆者の故郷では毎年、町内の幼稚園、小・中学校、各地域の町内会が総出で「全町大運動会」を行っていた。
もともと体育の日は1964年東京五輪の開会式の日だったが、統計上晴れが多い日だったこともあって、小中学校時代に運動会が雨で順延された記憶がない。当日朝まで雨が降っていても、生徒たちが雑巾を持ってきて、水たまりの水を吸い取ってから運動会を行った。
「全町」と銘打つだけあって、運動場の周りに設けられた観衆エリアは、町内会ごとに分けられ、学校のクラス対抗でなく、町内会対抗で得点を争う方式になっていた。恒例の小中学生や大人のリレーの時は、熱心な近所のおじさんたちが鉢巻きを巻いて太鼓を打ち鳴らして応援する。もちろん食事も、親が参加できる子供は親と一緒に、仕事などで親が来られない子供は弁当を近所の友達と一緒に食べていた。誰それがリレーでバトンを落とした、誰かを抜いた、誰かに抜かれた、あのおじさんはとんでもなく足が遅かった、などということは運動会後、数日たっても町内で話題になった。
今は田舎でもそんな運動会はない。体育の日も2000年から10月の第2月曜となり、今年からは名称も「スポーツの日」に変わり、今年に限り(来年も?)五輪開幕に合わせて7月24日に移動した。本家「体育の日」は大変な目に遭(あ)ったわけだが、今年はそれに加えて新型コロナ禍に見舞われ、孫の幼稚園の運動会も大人1人が付き添うだけで、兄弟も応援に行けなかった。とはいえ皆スマホで子供の動きを録画したり写真に撮ったりしているから、その場にいなくても活躍ぶりは分かる。
便利な時代にはなったが、なぜか、昔の体育の日の運動会が懐かしい。年を取ったせいだろうか。
(武)