犯罪組織を擁護する民主党
米コラムニスト マーク・ティーセン
トランプ氏発言に反発
「ギャングは動物」曲解
犯罪組織MS13のメンバー2人が昨年、悪魔へのいけにえとして10代の少女を殺害した。検察によると、「ディアボリコ」として知られるリーダーは少女に「獣」が「魂」を必要としていると言い、仲間に頭を撃たせ、遺体を通りに捨てさせた。ヒューストン・クロニクル紙によると、起訴内容が読み上げられると2人は、「笑い、笑みを浮かべ、メディアのカメラに手を振った」という。警察によると、MS13のメンバーはさらに、メリーランド州の男性を100回以上刺した上に、首を切り、心臓をえぐり出した。穴を掘っておいて34歳の男性を埋め、18歳の少年に石を投げつけて殺害し橋の下に捨てた。
悪魔のような死のカルトだ。だが、トランプ氏の発言のせいで民主党のペロシ下院院内総務は、MS13のメンバーの人間性を擁護することになった。
◇メディアは撤回
トランプ氏はホワイトハウスでの会合で「考えられないほど悪質だ。人ではない。動物だ」と発言した。MS13に関する発言であることは明らかだ。しかし、メディアや民主党員らは文脈とは違う解釈をし、すべての移民を動物呼ばわりしたと訴えた。ツイッターでは「トランプ氏は米国境を違法に越えた移民を動物と呼んだ」(AP通信)、「トランプ氏はホワイトハウスでの会議で不法滞在の移民を非難し、米国境を侵そうとした人々を『動物』と呼んだ」(ニューヨーク・タイムズ紙)という投稿が相次いだ。民主党のシューマー上院院内総務は、「米国に来た私たちの偉大な先祖は、誰一人として動物ではなかった。これらの人々も同様だ」と主張した。
メディアは次の朝までに、これらの訴えを撤回した。AP通信は、「トランプ氏の『動物』発言に関するツイートを水曜夜に削除した。ギャングのメンバーに関する発言であることは明確にされていなかった」と発表した。
ところが、ペロシ氏は違った。トランプ氏が犯罪組織のメンバーについての発言だったと明言した後も、トランプ氏が「不法滞在の移民」を動物と呼んだと主張し、記者会見で「非人間的」であり、「誰もが神の子供だ。…トランプ氏は、誰にも神性、尊厳、価値があると思っていないのか」と訴えた。
当然ながら、人は皆、神に似せて造られた。MS13のメンバーもそうだ。ウサマ・ビンラディン、ポル・ポト、アドルフ・ヒトラーもだ。ペロシ氏が激しく怒り、その人間性を擁護するというのはどういうことなのか。普通の会話の中で悪人を「動物」と呼ぶことはある。オックスフォード・ディクショナリーでは「動物」という言葉を「人間的な特質を欠き、啓蒙的な影響を受けていない人。特に、非常に残虐で、暴力的で、他を寄せ付けない人」と定義している。適切な使用例として「この男たちは動物に違いない。…あの少年にしたことはあまりに残虐だ」を挙げている。これこそがトランプ氏の言いたかったことだ。
◇不誠実なペロシ氏
ペロシ氏はまだ、発言を撤回せず、間違いも認めていない。トランプ氏も負けてはいない。
トランプ氏は先週、ロングアイランドでのイベントで「民主党員らがMS13を擁護しようとしていることに最近気づいた。ペロシ氏がその見本だ。以前、MS13のメンバーを動物と呼んで、批判された。『動物ではなく人だ』と言われた。だが、人ではない、動物だ」と主張した。
ナッシュビルで今週行われた会合では、歓声を上げる聴衆に向かって、「(ペロシ氏は)MS13が好きだ」「私がやつらは動物だと言うと、ペロシ氏は『よくもそんなことが』と言った」と話した上で、「何と言ったかな」と呼び掛けると聴衆は「動物」と答えた。こんな光景が今後何カ月もの間、トランプ氏の集会で繰り返し見られることだろう。
ペロシ氏ら民主党員の不誠実は、トランプ氏にとって追い風となった。ハーバード/ハリスの世論調査で、米国民の56%が、トランプ氏がMS13を「動物」と呼んだのは正しいと答えた。そのうちの41%はヒスパニック系、41%は民主党員だった。民主党は、残虐な殺人を繰り返す犯罪組織よりも、トランプ氏に強い敵意を抱いているが、その理由を多くの国民は分かっていない。
「(ペロシ氏は)MS13が好きだ」というトランプ氏の主張は確かに間違っている。だが、ペロシ氏は欺瞞に満ちた非難で、トランプ氏にそう言わせる口実を与えた。民主党はこれを教訓とすべきだ。つまり、トランプ氏は乱暴な発言をすることがあり、民主党はそれにいちいち関わり合う必要はないということだ。トランプ氏の発言のせいでMS13のメンバーの「尊厳と価値」を擁護することは間違っている。
(6月1日)






