待ったなしの年金改革
地球だより
ブラジルで大きな注目を集めているニュースの一つにテメル大統領が進める年金改革法案がある。現在、早ければ60歳から受け取ることができる年金の受給開始年齢を65歳に引き上げるほか、最低納付期間を大幅に延ばすなどというものだ。ブラジル財政は社会保障関連費が圧迫しており、年金改革は待ったなしの状況だ。
ブラジルの年金制度は日本とはかなり異なっており、例えば結婚をしている夫婦の男性側が年金の受給条件を満たした状態で亡くなった場合、その男性の年金は妻がほぼそのまま受け取ることができる。また公務員など職種によっては、実際に働いていた時に受け取っていた給料に近い高額な年金を受給することも可能だ。
このような年金システムが引き起こすのが、いわゆる「年の差婚」による年金受給の問題だ。ブラジルでは、50~60代の男性が20~30代の女性と再婚をするケースが少なくない。このような場合、男性が死亡した後も、若い妻に男性の年金がそのまま支給されることになる。
日本の年金制度に慣れた目から見ると、よくもこのようなシステムが長年続いてきたものだと思う。年金制度を根本から見直さない限り、ブラジル財政は近い将来に間違いなく破綻するというのが、専門家の一致した意見となっている。
(S)