椰子の木の上で3年間


地球だより

 フィリピンの片田舎で、椰子(ヤシ)の木の上で生活している男を地元メディアが紹介していた。驚くべきことに男は一度も地上に下りることなく3年間も、椰子の木で生活を続けていたのだという。

 母親によると男は47歳で、過去に何らかのトラブルで頭を殴られた後態度が急変し、椰子の木に登り始めたという。

 彼は既婚で第2子の出産の際に妻を亡くしているが、奇行に関係しているかは不明だ。

 食事は毎日、年老いた母親が届け、ロープを使って木の上に引き上げているという。どこか日本の引きこもりにも似た状況だが、台風や強烈な南国の日差しの下でどのように生き残ってきたのかは謎だ。

 地元関係者が男に下りてくるよう説得を試みたが、男が刃物を振り回すなどして拒否したため「救助活動」が行われた。

 そのビデオがネット上で話題となっていたが、チェーンソーとパワーショベルを使って椰子の木を切り倒すというかなり乱暴な手法で、救出というより猛獣の「捕獲」のような雰囲気だった。

 木から無理やり引きずり下ろされた男は、集まった野次馬に囲まれて怯えており、見ていて少し気の毒な気持ちになった。おそらく病院や施設に保護されるのだろうが、また彼が椰子の木の上に戻らないという保証はない。

(F)