賄賂にも地域格差
地球だより
国連開発計画(UNDP)がこのほど、面白い調査を発表した。
ベトナムで横行する賄賂に関し、その額も許容度も地域格差があるというものだ。
ホーチミン市のデータによると、社会通念として賄賂を渡す必要があると回答した人の割合は、「土地使用権証明書の発給時」が28%、「病院で治療を受ける時」が30%だった。
なお、土地使用権証明書に関わる賄賂の平均額は、ホーチミン市が約6万6000円と高額な袖の下となる一方、ハノイ市では約5500円と10倍余の開きがある。治療時の平均額はホーチミン市が約3300円、ハノイ市が約1万6000円で、今度はハノイの方が5倍高い。
役所から生存に関わる証明書を受け取る際、ハノイ市とホーチミン市ではその賄賂の額に大きな違いがあるというのは、なるほどと思うものがある。1975年、北ベトナムが南ベトナムに勝利して統一国家を樹立したベトナムでは、南ベトナム側のホーチミン市には戦争に敗北した負の遺産があるのだ。
それが精神的にも弱みとなって、統治者を代表する官僚に対し、低姿勢とならざるを得ない。それが高額の賄賂として反映されているようだ。
ただ、こうした歴史からくる心象風景は、時間とともに風化してくる。
役所幹部の賄賂要求を訴えるという人の割合は、ホーチミン市では2011年の12・5%から15年は2・3%まで減少している。