ベルガモの秋 イタリアから


地球だより

 イタリアのミラノ市から北東59キロにある小都市ベルガモ市に住む友人のカルロ宅を訪問した。ミラノ中央駅から電車で1時間の距離だ。中世の趣を残すベルガモの人口は約12万人(2011年)。ベルガモという呼称は紀元前、ローマ人によって初めて付けられたという。

 ケーブルカーで5分余り登れば、旧市内のチャタ・アルタ(高台)に到着。そこからチャタ・パッサの新市内が眺望できる。セリエAに所属するプロ・サッカーチーム「アタランタ・ベルガモ」のサッカー場も見える。

 旧市内は至る所石段が続き、ヴェッキア広場、コッレオーニ礼拝堂、アンジェロ・マイ図書館など由緒ある歴史的な建物がある。ヴェッキア広場ではベルガモの典型的な甘菓子、ポレンタを食べた。

 路上には犬が闊歩している。主人の歩くテンポを知っている犬たちは自由を満喫している。主人が疲れて休むと犬はじっと待っている。古い小さな飲み屋で腰を下ろして一休みする初老の男がいた。その足元には子犬が座っている。中世の絵画を見るような風景だ。当方はポケットからそっとデジカメを取り出し、シャッターを押した。子犬は当方の動作にまったく関心を払わない。どうぞ、勝手に撮影してください、と言っているようだ。男は、といえば、これまた微動だにしない。

 イタリアにはおいしい料理が多く、国民も食欲が旺盛と聞いていたが、カルロ家も例外ではなかった。カルロ宅の昼食を紹介すると、エビ入りのコーンスープ、パスタから始まり、サラダ、魚料理が続き、最後にカルロ氏の娘さんの手作りケーキが出てきた。
 ベルガモでは時間に追われるように、一つの名所から他の場所へと飛び歩く旅行者は少ない。ミラノから日帰りでベルガモを訪ねる旅行者は早足で過ぎていくが、多くはベルガモの時間に合わせて動く。それがベルガモを知る唯一の道だと言わんばかりに。

(O)