激しいシェア争いが続く牛丼業界。…
激しいシェア争いが続く牛丼業界。大手チェーン「吉野家」を展開する吉野家ホールディングスが、このほど福島県白河市に農業生産法人「吉野家ファーム福島」を設立した。
農場面積は4・3ヘクタールで、来春から牛丼用のコメ作付けを始め、タマネギや青ネギ、キャベツなども栽培するという。地元農家との共同出資で、資本金1000万円の法人だ。
2017年度には農場面積を約13トンに拡大し、コメ約35トンの収穫を目指す。吉野家では今、年間約3万ヘクタールのコメを使用しており、「ファーム」に頼る割合は小さくまだまだ試行の段階だ。
農業分野に進出する企業が増えたのは、09年の改正農地法施行以降。出資枠が拡大し法人参入が容易になり、施行後3年間で新たに1071法人が手掛けた。改正前の約7年間は436法人にすぎない。
現在、全国のコメ生産農家140万戸の規模別割合は1ヘクタール以下が102万戸で全体の73%。企業の参入により農地集約が進めば、有効利用の拡大による農業の活性化が期待される。結果的に農家の収入も上がろう。
ただし先行きは不透明だ。企業の農地取得が増えれば、不採算を理由に撤退も多くなろう。耕作放棄地がますます増え、農村が荒廃する恐れがある。改正農地法の狙いは、あくまでも先進国で最低水準にある日本の食料自給率を高めることである。農村が持つ環境保全や集落維持などの機能にも目を向ける必要がある。