【上昇気流】ロシアのお家芸は、ドーピングに軍事侵攻、それに加えて諜報機関の暗躍か


24日、爆撃を受けたウクライナ東部ハリコフ近郊で、損壊した建物の前で座り込む男性(AFP時事)

 ロシアのお家芸は、ドーピングに軍事侵攻、それに加えて諜報機関の暗躍か。緊迫する国際報道からそう憂える。ウクライナへの侵攻後に反露派を葬る「暗殺リスト」を作成しているという。

 諜報機関は400年の歴史があり、ロシアの“遺伝子”に組み込まれている。創設者はイヴァン雷帝。16世紀後半に反旗を翻す貴族らを粛清するため「オプリチニキ」と呼ばれる秘密警察を作り、4000人以上を処刑した。

 レーニンが革命運動を始めた19世紀後半には帝政側の秘密警察と政府要人の暗殺を試みるボリシェビキ(後のロシア共産党)が熾烈(しれつ)な“殺し合い”を演じた。

 革命後、レーニンは秘密警察「チェーカー」を創設。スターリンはそれを「GPU(ゲーペーウー)」に改組し粛清を繰り広げた。その後、恐怖政治のイメージチェンジを図るためGPUを廃止し「KGB」(国家保安委員会)に衣替えしたが、中身は変わらなかった。

 プーチン大統領はそのKGB元中佐。青年期(23~40歳)はKGB一筋で、400年の「諜報遺伝子」を継ぐ。それもハイブリッド戦を加えバージョンアップしている。ウクライナへの派兵演説では「ウクライナはロシアが、正確にはボリシェビキが作った国。作者、設計者はレーニンだ」と本性を露(あら)わにし、ゾンビのようにレーニンを蘇(よみがえ)らせた。

 「諸国民の公正と信義」(日本国憲法前文)はかくも容易(たやす)く破られる。それが国際社会の現実だと自覚したい。