盛り上がるバカンス計画ーフランスから
地球だより
フランスは英国の変異株などの新型コロナウイルスの感染拡大が鎮静化せず、1日2万人の新規感染者が出ている状況だ。しかし、すでに夏のバカンスに向け、計画を練る人々が増えている。
「フランス人にとってバカンスを過ごせないのは断食状態に等しい」というのは、友人のブノワ氏で、コンサル会社のマネジャーをしている。彼は1月にもコルシカに友人と出掛け、トレッキングを1週間行っている。でも、1週間は短過ぎるという。
「はっきりいって、もう限界だ」という彼は、夏にモロッコへの4週間のバカンスを計画中で、妻や友人など、10人で行くつもりらしい。どこで何をするかで喧々諤々(けんけんがくがく)で、2週間近くリモートで計画が練られているがなかなか決まらない。
「コロナは心配にならないのか」という問いに、「ワクチンで抑えられるはずだ。これ以上は精神衛生上良くない」とブノワ氏は言う。
実はヴェラン仏連帯・保健相も「国民の精神状態が限界に達していて心配だ」と公式な場で発言している。精神状態が悪化すると、家庭内暴力(DV)が増え、治安も悪くなるからだ。
昨年の夏はロックダウン明けで国内限定だがバカンスは解禁された。その結果、9月から感染が急拡大し、10月末から2度目のロックダウンを強いられた。観光大国フランスではインバウンドが大きな収入源なだけに観光業に携わる人々は深刻なダメージを受けている。だからフランス国民がバカンスで動き出すことへの期待度は高い。
(A)