マスク着用は髭を剃ってーオーストリアから


地球だより

 オーストリアでは25日から新型コロナウイルス規制の追加措置としてスーパーや地下鉄などの交通機関を利用する場合、高品質のFFP2マスクの着用が義務化された。

 感染が欧州に上陸した直後、専門家たちは家庭用マスクの着用を勧めたが、「マスクはアジアの文化であり、欧州社会ではマッチしない」と拒絶する人が多かった。コロナ禍が長期化し、多くの感染者、死者が出てきた結果、マスクの着用は欧州社会でも定着、義務化された。

 これまではマスクといっても簡易なもので、感染防止はあまり期待できなかった。しかし、昨年末から今年に入り、英国発のウイルス変異種が発生、新規感染者が急増し、ロックダウン(都市封鎖)でも新規感染者数が減少しないために、高性能マスクが必要となってきた。

 着用の義務化を控え、FFP2を買う国民が増えた。その結果、トイレットペーパーの時と同じように、どこのスーパーでも売り切れ。10枚入りを2袋買おうとした客は会計で「1人1袋まで」と注意されて、抗議する、といった場面がニュース番組で報じられていた。

 だがここにきて新たな問題が生じている。髭(ひげ)だ。髭を生やしたままFFP2マスクを着用しても効果は期待できない。専門家は「着用前に髭を剃(そ)るように」と助言するが、ソーシャルメディアは苦情であふれている。特に、イスラム系やユダヤ人の男性には髭を生やしている人が多い。「マスクの着用のために髭を剃れ」と言われても、直ぐには納得できないだろう。

(O)