国民は都市封鎖を支持-イタリアから


地球だより

 6月に入り、新型コロナウイルス感染がピークアウトしたことを受け、欧州では3月中旬から施行してきた規制を緩和し、国境制限も段階的に解除する国が増えてきた。一時期、欧州最大の感染地だったイタリア北部ロンバルディア州でも段階的だが措置が解除されている。

 イタリア国立統計研究所が公表した調査結果によると、イタリア国民は3月9日から実施された政府のロックダウン(都市封鎖)を91%が支持、あまり有益でない、全く有益ではなかったと回答した国民は9%にすぎなかったという。

 陽気で外食が好き、家族と団欒(だんらん)することを好むイタリア国民が外出を禁止され、散歩すら制限されたにもかかわらず、国民は感染防止にはロックダウンが必要と感じていたことを意味する。イタリア国民には当時、他の選択肢がなかったのだ。多くの国民が次々と亡くなり、医療は崩壊した。過去に欧州を襲撃したスペイン風邪やペストを想起する人々も出てきたほどだ。

 ロンバルディア州のベルガモ市に親戚が住んでいることもあって、イタリアの新型コロナの猛威に驚く以上に、恐ろしさすら感じてきた。最近もらったメールを読む限りでは、ベルガモ市民もようやく落ち着いてきたという。

 新型コロナが終息したとしても、別れの言葉すら交わすことなく家人を失った国民の中には心的外傷後ストレス障害(PTSD)に悩む人が出てくるかもしれない。新型コロナはイタリア国民に忘れることができない傷跡を残した。
(O)