統一地方選前半戦結果 維新や造反保守に批判票

不十分な野党側の受け皿

統一地方選前半戦結果 維新や造反保守に批判票

当選を決め固い握手を交わす大坂維新の会の松井一郎代表と吉村洋文政調会長=7日午後、大阪市中央区の大坂維新の会本部(森啓造撮影)

 参院選の前哨戦である統一地方選挙は、7日に前半戦の11道府県知事選、41道府県議選、6政令市長選、17政令市議選の投開票が行われ、各政党メディアが取り上げた。注目された大阪府知事・市長ダブル選で勝利した大阪維新の会は機関紙を持たず、ホームページで市長選に当選した松井一郎代表と知事選に当選した吉村洋文幹事長の記者会見の動画を載せている。

 自民党の機関紙「自由民主」(4・16)は「衆院補選スタート」が1面トップで、「統一地方選前半戦」は2番手の控え目な扱い。大阪維新の会に与野党包囲網を築きながら敗れたためか、大阪の敗北は記事で全く触れていない。

 逆に同紙は「わが党着実に勝利重ねる」と見出しを立て、道府県議選で「前回の獲得議席を5議席上回るとともに改選となった2277議席の過半数を占め」、政令市議選で「前回より26人多い、327人が当選」したと報告。しかし、新人を擁立した5知事選では、大阪のほか保守分裂の島根、福岡で負ける2勝3敗、政令市長選は2勝2敗とやや厳しい。

 立憲民主党のHPは、前半戦結果を受け長妻昭選挙対策委員長の8日の記者会見を載せた。野党統一候補を擁立しながら自民新人に敗れた北海道知事選について、「なかなか及ばなかった」と報告。道府県議選について「推薦含め125議席をいただいた。改選前は89議席だったので、相当伸びた」、政令市議選は「改選前の76議席から、推薦含め102議席まで伸ばすことができた」と議席増加を強調している。

 国民民主党のHPでは、10日の第45回総務会の記事の中で前半戦結果について、「党籍有当選者が道府県議会議員選挙で135人、政令市議会議員選挙で36人などと報告された」と載る。

 公明党はHPに公明新聞の記事の中から、「統一選前半戦公明、激戦制し大勝利/道府県167人全員当選」「政令市は171人勝ち抜く/2氏が惜敗」の見出しの記事を掲載。「党派別の当選者数は、道府県、政令市ともに自民党に次ぐ第2党となった」と勝利を強調した。

 共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(4・9)は、「統一地方選挙前半戦の結果と後半戦のたたかいについて」と題し、8日に発表した党中央委員会常任幹部会の文書を掲載。冒頭で「7日、投開票された統一地方選挙の前半戦で、日本共産党は、41道府県議選では99議席(議席占有率4・35%)を獲得しましたが、前回の111議席(4・86%)から後退し…17政令市議選では、前回の136議席(13・31%)から115議席(11・36%)への後退となりました」と報告した。

 勝利を主張したのは自民、公明、立憲、後退を認めたのは共産だ。ただ、立憲と国民の両野党を「民主党」でくくれば道府議選で260議席、前回の2015年に民主党は264議席なので“後退”だ。しかも、与野党対決の北海道知事選で野党統一候補は敗れ、参院選に明るい結果ではない。

 ただし、与党の自民も順風とは言えない。大阪維新の会は保守系政党であり、自民党が知事選で落とした島根、福岡では党に造反した保守系が勝った。

 批判票のポテンシャルは存在し、立憲中心で共産が加わる野党共闘は受け皿として十分ではなく、魅力ある別の保守勢力の選択肢があった場合、どうなるか分からないと示唆する結果と言えそうだ。長期政権には強みもあれば弱点もある。後者は有権者の“飽き”やマンネリ化だ。衆院補選の苦戦にも危機感が増そう。

編集委員 窪田 伸雄