敵ミサイルを発射前に破壊
開発進むサイバー兵器
国防総省は、新型ハイテク防衛システムの一環として、敵ミサイルを発射前に攻撃するためのサイバー兵器、電子戦兵器の開発を進めている。国防総省高官らが昨年4月、連邦議会で明らかにしていた。
ミサイルシステムのコンピューター、センサーなどのネットワークに対するこの非運動エネルギー兵器による攻撃は、ミサイルを地上で破壊することを目指すもので、発射前に破壊することから、「レフト・オブ・ローンチ(発射前)」と呼ばれている。
この非運動エネルギーミサイル防衛計画の詳細はほとんど明らかにされておらず、ブライアン・マキオン政策担当第一国防次官によると、大規模なミサイル攻撃に対応する必要がある現在の安全保障環境の出現を受けて、開発が進められるようになったという。
計画に詳しい国防当局者によると、この新ミサイル防衛では、サイバー攻撃や、敵の指揮・管制システムに対する電磁パルス攻撃などの電子戦兵器が使われるという。
サイバー攻撃、電子戦兵器は、発射制御を妨害したり、発射時に爆発するよう指示を送るなどでミサイルの発射を阻止することを狙ったものだ。
ゴートニー北方軍司令官は、上院軍事委員会戦略軍小委員会での証言で、「発射直後のブースト段階と、レフト・オブ・ローンチと言われる発射前の弾道ミサイルの脅威に対処するための防衛力を統合する必要がある」と指摘した。
また、米軍は、ドローンや航空機に搭載し、ブースト段階でミサイルを破壊する高出力レーザー兵器の開発を進めている。国防総省ミサイル防衛局のシリング局長は、「指向性エネルギーなど非運動エネルギー兵器の開発、ブースト段階やレフト・オブ・ローンチ段階でのミサイル破壊という新コンセプトは、形勢を一変させ、費用のかかる迎撃ミサイル頼みの現状を大きく転換させる可能性がある」と指摘した。