無料塾で共産党の勧誘 教育を党勢拡大に利用

小中高校生ら集める

 小学生、中学生、高校生に、無料で勉強を教えると宣伝して、子どもたちや青年を集め、共産党や日本民主青年同盟の勧誘の場としている。「無料塾」のチラシを共産党員や支持者が、駅前などでスマイルしながら配布している。チラシには、共産党と関係していることは一切書かれていない。ただ、家が貧しくて塾に通うことができない子どもたちに、貧富の格差をなくすため、無料で勉強を教えますと書いてあるだけだ。しかし、実態は共産党の勧誘の場である。

 共産党は青年党員の獲得に必死である。党員の高齢化が進み、将来、共産党が小さな組織になってしまうことも考えられるからだ。1月に開催された第27回党大会でも、世代的継承を優先課題に位置付け、これまでの青年学生対策委員会の開催、青年支部と民青同盟への援助に加え、各地で世代的継承推進委員会を立ち上げた。

 その中で、無料塾の経験が紹介され、各地で取り組もうと呼びかけている。共産党中央委員会が出版している月刊誌『月刊学習』には、2011年頃から、無料塾の開催を通して高校生と結びつきができ、民青同盟員の勧誘ができたという記事が掲載されるようになったが、今回、全党的に取り組むことになったのだ。

 無料塾は、貧しい高校生に学びの場を提供するという美辞麗句の裏側に、共産党の拡大戦略に明確に位置付けられている。政党が教育の場を利用して党員を勧誘することは、絶対に許してはならない。

 「学生生活と主権者としての一歩を励ます新入生歓迎運動にとりくもう」と題する今年2月3日の民青同盟中央常任委員会声明には、「同盟員のいない学園でも、『無料塾の講師募集チラシをまいたら学生とつながりができた』など条件を探って仲間を迎え、学園ごとの班結成を目指しましょう」と末文にある。2月26日付の『東京民報』(共産党系の東京の地方新聞)でも、無料塾のことが大きく取り上げられている。退職した元小学校教員が無料塾を西東京市に開設し、多数の小学生や中学生を集めているという。また、学生ボランティアも集めている。

 『月刊学習』11年2月号には、「東京では、ある大学で『無料塾ボランティア募集中。昼休みに説明会をやります(食事付き)』とのビラをまくと……『中高生と触れ合いたい』など民青同盟外から四人が申し込みました。『無料塾』は計画も含めると二十地区に広がり、『そういうことなら役に立ちたい』と……民青同盟に加盟する人も生まれています」という記事がある。同誌12年12月号などには、民青の「無料塾」は、退職教員、新日本婦人の会や生活と健康を守る会などの民主団体、共産党の地区委員会や地方議員らのさまざまな援助があると書いてある。

民青加盟を働き掛け

 こうして、共産党の指導の下に行われる無料塾によって、民青新潟県委員会では3人の高校生が加盟し、新潟市に高校生班が再建された(『民主青年新聞』15年3月16日の記事)。

 千葉県市川市にある民医連の医療機関である市川診療所には、無料塾の生徒募集のポスターが貼ってあるが、横には共産党のポスターなどが多数貼ってある。

 親の中には、共産党ではなくて、民主青年同盟なら子どもをかかわらせても大丈夫だろうと考えている人がいるかもしれない。が、とんでもない。日本民主青年同盟は、共産党を相談相手とし、共産党について学ぶ組織(規約に明記されている)で、選挙の時には中央委員会が共産党を躍進させようと毎回決議する。

 無料塾―、そこに潜む政治目的は要注意である。