参院選の革新候補に元宜野湾市長の伊波氏


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 沖縄県政与党など翁長雄志知事を支える革新諸団体でつくる参院選候補者選考委員会が連日の協議を重ね、9日、元宜野湾市長の伊波洋一氏(64)を擁立することを決めた。

 伊波氏は昨年9月、同委員会で選考されたが、宜野湾市長選で自公が推す佐喜真淳氏が再選したことを受け、協議は振り出しに戻っていた。

 選考委メンバーの一人で、強い発言力を持つ県内大手企業・金秀グループの呉屋守将会長は8日、伊波氏に候補を降りるつもりはないか、問い詰めた。1月24日に行われた宜野湾市長選で、革新候補が大敗した際、選対本部長代行を務めた伊波氏の責任を追及したのも呉屋氏だ。

 委員会座長を務める新里米吉県議(社民)ほか複数の候補の名前も取りざたされるなど、混乱を極めていたが、最後は伊波氏の固い意志に呉屋氏らが折れた形となった。

 「オール沖縄」を標榜(ひょうぼう)する革新陣営が伊波氏に難色を示したのは、同氏の反米色の強さだ。2010年には知事選に出馬したが、沖縄にとっての脅威は中国ではなく米国だと主張。日米安保に否定的な見解を示したこともあり、県民から信任を得ることはなかった。

 また、復活を期して出馬した12年の宜野湾市長選にも、大方の予想を覆して敗北を喫した。人当たりは決して良いタイプではない。

 現職の島尻安伊子・沖縄北方担当相(51)は3選を目指し、自公が推薦する。自民党県連の幹部は、普天間飛行場(宜野湾市)の問題などで「かなり厳しい戦いが予想される」と指摘する一方で、思想がはっきりした相手の方が戦いやすいとの見方もあるという。「彼女には勝利の女神が味方に付いている」と太鼓判を押す。(T)