歴史教科書の国定化めぐる南南理念葛藤


韓国紙セゲイルボ

 「正しい歴史教科書を作る」という宣戦布告が“歴史戦争”の開始を知らせた。卑劣な言葉爆弾が降り注いでいる。「匪賊」「乱臣賊子」「大統領は巫女ではない」といった言葉の攻防戦が繰り広げられている。

 政治が街頭に飛び出して世論戦に訴え、歴史学者、教師、青少年、市民団体が左右に分かれて実力対決を辞さない。野党・新政治民主連合は国会で無期限抗議の座り込みを始め、国会本会議も拒否することにした。

 国定化賛否論争は実に陳腐だ。歴史教育を正常化するという当初の目的を無視し、ひたすら賛否をめぐる戦争のような総力戦消耗戦を繰り広げている。1945年の光復(解放)、50年韓国動乱以後、南北の対決で相討ちの悲劇を体験しながら、いまは南南(韓国内)理念葛藤に明け暮れている。

 歴史教科書の「国定化推進は独裁」であり、「国定化反対は容共左派」と固く信じる歴史戦争の主役たちも、今の盲目的衝突がどんな傷と分裂、葛藤を作り出すかに対しては関心がない。

 来年の総選挙と次期大統領選挙を眺める目は数万個なのに、歴史教育を眺める目はただの一つだけである。この戦争が終わって目の前に繰り広げられた惨状をはじめて見ることになる日、自分たちが犯したことに対して必ず答える義務がある。

(金起弘(キムキホン)論説室長、11月3日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。