「安米経中」では対処できぬ現実


韓国紙セゲイルボ

未来図描いた外交戦略を

 地政学的に韓国は強大国に囲まれている。韓国の政策決定は強大国の利害関係と密接に関連しており、独自の決定は容易でない。韓国は世界10位圏の経済的実力を備えているにもかかわらず、国際社会で明確なアイデンティティーを刻印できずにいる。世界的な事件が起きれば、韓国は旗幟を鮮明にするよりは“静かな外交”に力を注いできた。

 最近、韓国は伝統的な友邦である米国と新興強大国に浮上した中国との間で選択を強いられる状況にしばしば置かれる。中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立を宣言すれば、韓国は米国との関係を考慮し、長考の末に参加を決めた。米国が主導し12カ国が締結した環太平洋経済連携協定(TPP)には、初期に加入宣言できず、今になって慌てて入ろうとしている。

 今まで韓国は政経分離の原則に基づいて、国家安保では米国と歩調を合わせ、経済的懸案は中国の立場を重視するという「安米経中」(安保は米国、経済は中国)を行ってきた。これがうまく作動しているうちは他の案を検討する必要はなかった。

 ところが、最近、米政府は南シナ海の領土紛争に積極的に介入し、韓国に明白な立場を迫っている。これはAIIB参加のように「安米経中」の原則では判断できない。安保の問題といって米国を支持すれば、中国は韓国が自国の利益を尊重しないと判断するだろう。経済の問題なので中国を支持すれば、米国は韓国が中国を牽制(けんせい)する戦略に加わらないと判断するだろう。したがって、われわれが決定を下そうとするなら、静かな外交や「安米経中」でない新しい原則が必要だ。

 いま韓国は実益だけは得ながら、重要懸案では尻込みするという誤解を受けている。この誤解と不満が深まれば、韓国の“無賃乗車論”が猛威を振るうことになる。

 春秋戦国時代、思想家と一般人は国家間の合従連衡を陰謀や権謀術数と見て否定的に評価した。だが、蘇秦(中国戦国時代の弁論家)は外交の重要性を看破した。「民を心安らかにするところは外交相手をよく選ぶことにかかっている。相手をよく選べば民が安らかになるが、正しく選べなければ国民は一生安らかでない」と。彼は「択交」(選んで交わる)が国家の生存と民の安定に決定的な作用をすると見た。

 いまやわれわれは未来をどのように設計するのかというビジョンを描かなければならない。目の前の問題だけで右往左往し、未来を準備できないならば、自分の決定権を行使できなかった20世紀の韓半島状況を繰り返すことになる。

 われわれの核心利益が何か、社会的合意を導き出し、それを守るために外交戦略を新しく練り直す努力をしなければならない。

(シン・ジョングン成均館大教授・東洋哲学、11月2日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。