韓日が真の隣人となる道 国民同士で平和意識共有を
韓国紙セゲイルボ
日本で安保法案が可決された。その核心は集団的自衛権の行使が可能になったことだ。集団的自衛権の発動により同盟国が危険な時、自衛隊が国際戦争に参加できることになった。
日本のこのような動向には北朝鮮の核弾道ミサイル開発、中国の軍事力増大および領土紛争、米国のアジア・太平洋地域防衛に対する協力要請などが主要原因として作用した。日本は周辺の国際情勢が大きく変わるのに伴った対外戦争遂行能力を確保したわけだ。
韓国はこれまで日本の右傾化の動きに対して非常に敏感に反応してきた。しかし、われわれの感情的な反応は逆に彼らを刺激し、嫌韓ムードを広げ、一方で右傾化の口実を提供してしまった。
われわれは日本政府に向かって過去史に対する謝罪を要求してきたが、日本の謝罪が十分だと考える韓国人は4%なのに対し、日本人は76%が十分だと考える。この差を招いた背景には、今の日本人は過去の歴史責任世代の2、3代子孫で、自分たちは過去の歴史と直接的な関連がないという認識がある。
その結果、安倍首相は8月の談話で、「もうこれ以上は謝罪責任を子孫に負わせられない」と表明するに至った。執拗(しつよう)に繰り返してきた韓国の平和戦略が逆効果だったとすれば、今後の戦略はどんなものになるべきだろうか。
韓国をめぐる対外情勢は急変している。周辺強大国の軍備拡張が目立っている。平和維持のための対日戦略の修正が避けられない時点に至っているのだ。今は過去でなく未来に焦点を合わせた対日平和戦略をたてなければならない。
韓国の地政学的位置から見れば、外交は安保に直結する。政府は対北朝鮮戦略の他に、独自的で持続的な全政府次元の対外安保戦略を樹立しなければならない。国際情勢が急迫していた旧韓末に、強大国の変化について右往左往し、無気力に国を失ったいわゆる「エビ外交」の前轍を踏んではならない。
今まで韓国は政府を脇に置いて国民が先に日本政府を攻撃し、日本国民との反目を招いた。国民の考えが政府を動かす時代に必要なことは隣接国の国民と平和意識を共有することであり、相互信頼を積むことだ。
何よりも日本政府に向けた過去の歴史関連の窓口は政府に一任しなければならない。国民がすべきことは日本に向けた政治的叫びではなく、日本国民との多様な交流を通じて、理解と絆を強化し、それぞれの政府を構成できる平和的基盤を固めることでなければならない。
(李徳奉(イドクボン)同徳女子大名誉教授・元韓国日本学会会長、9月23日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。