「埋立申請反対99%」のナゾ


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 名護市は7日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設に向けて政府が県に提出した辺野古の埋立申請について同市が8月1日から10月末まで募集していた市民意見の結果を発表した。それによると、集まった意見約2500件のうち、99%を反対意見が占めた。稲嶺進市長はこれを基に市長意見案を作成し、市議会の決議を得て、県に29日までに提出する。

 ところで、地元辺野古区では条件付移設に賛成している人が過半数いると聞くのに、名護市全体でほとんどが反対というのは、常識で考えてあり得ない。意見の募集要項を見て謎が解けた。

 市は「募集対象は名護市に居住する人や同市出身者、同市内の法人など」と明記。ところが、市民意見は市に住民登録をしている名護市民だけが対象ではない。市に以前住んでいた人も有効。法人の場合は、「ヘリ基地反対協議会」など反基地市民団体に加入する名護市民以外の人も参加できる。

 移設反対派の団体はホームページなどを通じて意見提出を促した。移設を黙認する側からは意見を出しにくいのを逆手にとって、組織票を視野に入れた意見募集であることが透けて見える。ちなみに、辺野古海岸で座り込みを8年続けている同協議会は、稲嶺市長の事務所と同じアパートに事務所を構える。

 市民意見の結果が出ると、地元マスコミは「99%」の市民が辺野古移設に反対しているかのように報じている。

 前市長の島袋吉和氏が普天間飛行場の「辺野古移設」を堂々と掲げて出馬。「県外移設」でこれまで選挙を戦ってきた自民党沖縄県連も辺野古移設容認へ舵(かじ)を切らざるを得ない情勢だ。名護市長選挙は来年1月19日。(T)