ロッテとポスコのドタバタ劇 日本を超えられない明確な理由


韓国紙セゲイルボ

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韓国の朴槿恵大統領=10日、ソウル(EPA=時事)

 「アリババの馬云、ソフトバンクの孫正義が習った経営哲学」といわれる京セラ創立者・稲盛和夫氏の著書『岩を持ち上げろ』(ソウル文化社刊)はあたかも孔子を読んでいるようだ。
 「常に完ぺきを追求せよ、誠実に仕事に没頭せよ、小さい努力を着実に積め、率先垂範せよ、公私を区別せよ、真の勇気を出せ、反省する生活を送れ…」

 稲盛氏は日常でも実践が難しいこうした教訓を利潤創出が目的の会社の経営原理として示した。経営者は自分の利益を犠牲にしても、公明正大な社会正義を守るために努力しなければならない人だと話すに至っては、俗世を離れた仙人のイメージさえ浮かぶ。実際、彼は引退後、托鉢僧生活を送りもした。

 そのような心掛けを堅持し、300万円で設立した京セラを年間売り上げ5兆円を超える世界的なセラミック会社に育てることができたと稲盛氏は言う。尊敬を受けた企業家にはソンビ(高尚な人)の道徳観と商人の才能を兼ね備えた「士魂商才」の精神が感じられる。

 いま韓国ではロッテグループとポスコが演出するドタバタ劇が上映されている。ロッテ家の兄弟が主演の「兄弟の乱」は既に国内屈指の大企業が何度も上演した作品だ。

 すべての創業者が、「世襲経営はしない」と宣言する必要はないが、オーナー経営をすると決心したら、稲盛氏の助言の通り「私は個人の利益のためだけに会社を経営しない。全職員の幸福のために努力を惜しまない」という心を職員と株主に確信させなければならない。

 対日請求権資金で建設されたポスコ(旧浦項総合製鉄)の不正疑惑は国内企業家のモラルハザードを映し出す鏡だ。セゲイルボの特ダネ報道を契機に始まった検察のポスコ建設海外秘密資金事件捜査が6カ月目に入った。検察が明らかにしたポスコ内部の腫瘍(しゅよう)は大手術が必要なほど悪性であると診断された。検察高位関係者は、あちこちに不正の跡が残っており、担当検事たちは休暇を返上しなければならない状況だという。

 「不正は清算しなければならない」というのは負担になろうが、悪性腫瘍の上に絆創膏(ばんそうこう)を貼る形ではポスコを生かせない。

 生まれから日本と無関係ではないロッテとポスコが光復70周年の年に恥ずかしい素顔を晒(さら)している現実は国民を惨めにさせる。光復以後今まで、われわれがなぜ日本を超えられずにいるかを新たに悟らせる。二つの企業は日本から何を見て習ったのか。

(趙南圭〈チョナムギュ〉社会部長、8月5日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。