辺野古問題に無策の翁長知事
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
日米両政府が米軍普天間飛行場の移設先と定めている名護市辺野古沿岸部で、沖縄防衛局は12日午前、ボーリング調査を約半年ぶりに再開した。
作業再開を受け、翁長雄志(おながたけし)知事は「あらゆる方法で新基地建設を阻止する」とお決まりのコメントをしたが、辺野古以外の具体的な代案については言及したことはない。
翁長知事は2月、環境問題専門の学者と弁護士ら有識者6人で構成される第三者委員会を設けた。仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事による埋め立て承認が適正であったかどうかを判断するもの。その中には沖縄大学元学長の桜井国俊名誉教授がいる。「地元メディア御用達の左派言論人」と言われる桜井氏は先月、キャンプ・シュワブのゲート前の反対派集会に顔を出し「この事態(埋め立て)をストップさせるのが使命だ」とし、「埋め立て承認の瑕疵(かし)を探す」と宣言した。
これに対し、県議会2月定例会では、島袋大議員(自民)が「桜井氏の言動は不適切である」と知事に迫る場面もあり、議会が緊迫した。
一方政府は、菅義偉(すがよしひで)官房長官が12日の会見で「法制に基づいて手続きを行っている。粛々と工事を進めるのは当然」との日米合意どおり進める姿勢を崩さない。
中谷元防衛相も、翁長知事との会談について「会って良い結果が出れば良いと思うが、より対立が深くなるということでは会っても意味がない」と言い切った。
知事があいまいな態度を続けている間に、作業は進行する。移設反対派の知事に対する県民の期待感が少しずつ薄れつつある中で、政府の知事に対する不信感は高まるばかりだ。(T)