李明博前大統領回顧録出版騒動が残したこと


韓国紙セゲイルボ

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2013年2月12日、ソウルで会談する韓国の朴槿恵次期大統領(左)と李明博大統領(当時)(EPA=時事)

 時宜を得ぬ李明博(イミョンバク)前大統領の回顧録出版が政界に小さくない波紋を起こしている。

 回顧録は真実に基づく時にこそ、初めて意味があり歴史的価値がある。だが、大部分は自身の合理化や正当化に陥り、色あせたり、論争に巻き込まれたりする。

 望ましい大統領回顧録になるためには、まず、出版の時期を調節する必要がある。現朴槿恵(パククネ)政府がさまざまな面で難しい時にあって、前大統領任期中の国策事業に対する国政調査が実施される時点で、回顧録が出版されたことは問題だ。

 2番目、内容が事実に基づかなければならない。4大河川事業や資源外交などについて、成果問題の現実的・客観的判断よりは自画自賛に近い論理を展開している。

 三つ目、国家的に敏感な機密事項は守られなければならない。南北首脳会談をめぐる交渉内容の具体的な公開などは、これからの対北関係で政府の交渉半径を狭めてしまう。

 四つ目、論議に包まれ得る推測や推理は避けなければならない。世宗市修正案が否決されたことは、朴槿恵(当時、党代表)側が鄭雲燦(チョンウンチャン)総理大勢論を牽制(けんせい)しようとする意図から反対したためという疑惑を持ち出したことは、回顧録の価値を落とす内容だ。

 自分の合理化から抜け出して、率直な人間的苦悩を真剣に描くことこそ、回顧録に歴史的価値を持たせ、後世に残る道案内となるだろう。

(梁勝咸〈ヤンスンハム〉延世大教授・政治学、2月4日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。