米軍、飲酒制限解除の矢先に


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 在日米軍は今月9日、沖縄に駐留する陸海空軍および海兵隊(四軍)の軍人・軍属の勤務時間外行動指針(リバティー制度)を緩和し、基地外飲酒などの制限を解除した。

 具体的には、午後6時から同10時にバーを除く飲食店でビール2本程度までに制限されていた飲酒を、午前0時~同5時を除いて場所や飲酒量制限を解除。また午前1時から同5時については、上官同伴を条件に外出が認められた。

 米軍人による事件・事故が減少したとして先月末にこうした緩和方針を沖縄県に伝えていた。ところが、方針が決まった後、解禁日までの間に、飲酒絡みの米兵による事件・事故が4件発生した。

 早速、嘉手納基地が所在する沖縄市の桑江朝千夫(さちお)市長は6日、在沖米軍に対するリバティー制度緩和措置の延期を申し入れたが、米軍は予定通り同制度緩和措置を発表した。

 しかし、解禁後にも事故が起きた。18日夜、北谷町(ちゃたんちょう)で車を運転していた陸軍の幹部が飲酒運転の検問を振り切って逃走、追いかけてきた警察官に体当たりして、公務執行妨害及び酒気帯び運転の疑いで逮捕された。

 2012年12月にリバティー制度が適用されて以来、沖縄市、金武町(きんちょう)、読谷村(よみたんそん)などの繁華街にある数多くの飲食店が閉鎖した。基地周辺の飲食店にとっては、米軍は「経済発展の最大の阻害要因」(翁長雄志知事)どころか、大歓迎すべき存在なのだ。

 沖縄市コザの繁華街のある店主は、制度が緩和されて以来、少しずつ客足が戻ってきていると実感、「再オープンした飲食店もある」と胸をなでおろした。こうした矢先に事件・事故が起きたわけで、喜びも半減だろう。(T)