“カワイイ”にハマる韓国
韓国紙セゲイルボ
現実統制できぬ無力感の表れ
「ムーミンはありますか?」「申し訳ないが、売り切れました」
会社員A氏は最近、ソウル市内のドーナツ店6カ所を歩き回った。ムーミン人形を購入するためであった。ムーミンはA氏の好みを「狙い撃ちした」ものだ。週末に店舗を歩き回ったが、手に入らなかった。
この業者はドーナツ一定量を買うと3000ウォンでムーミン人形を購入できるキャンペーンを行い、開始二日で1次物量5万2000個が品切れになった。オンラインコミュニティーで店舗情報を探して殺到するという「ムーミン大乱」まで生じた。
「カワイイ」が人々を惹(ひ)きつけている。見る人に微笑をプレゼントする人形、おもちゃなどが固く閉じられた財布を開けている。
大乱を起こしたのはムーミンだけではない。その前にスーパーマリオ、ハローキティがあった。6月、あるハンバーガー業者がスーパーマリオのおもちゃを売って、三日で売り切れたことがある。ネット中古市場では高価で取引されて問題にもなった。
先月のように、限定版ハローキティ人形は5万ウォンを超えるのに、売り場のあちこちに人々の列ができ、一日で売り切れた。
本「カワイイ帝国日本」を書いた四方田犬彦氏は、「キティは『カワイイ』のすべての要素をいっぱい含んでいる。単純で無害な表情、やさしくて丸くて安らかな感じは子供たちが好むものだ」と説明する。専門家たちはこのような可愛気(かわいげ)に対する熱狂が社会現実を反映するものだと解釈する。
文化評論家の李沢広(イテックアン)慶煕大教授は、「カワイイに対する愛好は、『対象をコントロールすることができる』という判断からくる楽しみが大きい部分を占める。そのような意味で、消費形態でも、文化コンテンツでも、カワイイが重要な特性に浮かび上がるのはそれだけ現実で私たちが何も統制できないという無力感が大きくなっているという証拠」と説明した。
(キム・スンファン記者、12月15日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。