子宮頸がんワクチンの不都合な真実 医師 佐藤荘太郎
疼痛は脳に障害の可能性
子宮頸がんワクチンの重篤副反応が相次ぎ、厚生労働省ワクチン検討部会はこのほど、接種の積極的勧奨を中止した。佐藤荘太郎・内科医は世日クラブで「子宮頸がんワクチンの不都合な真実」と題し、様々な症例で現れる副反応の根本原因について語った。
事態矮小化する厚労省/再び積極的勧奨狙う
ワクチンで抗原過多に/症状の深刻さ疎い委員
 今回、厚生労働省専門部会の決定で、子宮頸がんワクチンの積極的勧奨をしないことになった。5人の委員の間で決を採って、3対2で勧奨中止となった。ワクチンによる深刻な副反応が起こっているということで勧奨しないのだから、接種の希望があっても医者は動きが取れないと思う。副反応の被害が出たらどこが責任を取るのか。
 今回、厚生労働省専門部会の決定で、子宮頸がんワクチンの積極的勧奨をしないことになった。5人の委員の間で決を採って、3対2で勧奨中止となった。ワクチンによる深刻な副反応が起こっているということで勧奨しないのだから、接種の希望があっても医者は動きが取れないと思う。副反応の被害が出たらどこが責任を取るのか。
混乱しているのは、むしろ接種を1、2回受けている人たちだ。よいワクチンだと思って打っていたのに、何かまずいものだったのかと。1回、2回と打った人は、やめるのがいいと思う。
似たようなケースとして2011年3月上旬に、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンで4人の赤ちゃんが立て続けに亡くなり、一時接種中止になった。しかし、その年の4月からなし崩し的に再開され、現在も続けられている。それと同じような経過をたどりかねないと危惧する。
厚労省の専門部会の判断で、疼痛に限って症例を絞り、情報収集を行うことになった。やはり被害者団体の訴えが通ったのだと思う。本当は脳の障害のほうが深刻なのであるが、これを選ぶことにより厚労省は事態を小さくみせ、国民を安心させようとしているのだと思う。
ダイアン・ハーパーさんという方がおられるが、米国メルク社のガーダシルと英国グラクソ・スミスクラインのサーバリックスの二つの子宮頸がんワクチンの臨床治験と接種法の開発に関わった人で、ガーダシルの治験は15歳から18歳の間に行われたので、15歳以下の女性に打つ根拠はないのだと言っている。アメリカの婦人科学会で、12歳の女性に打つべきでなく、今までのように検診の方が安全だと言った。そうしたら、製薬会社により口封じされてしまった。
アメリカに子宮頸がんワクチン被害を調べているSaneVax.orgというサイトがある。ここがつくったHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種の後、亡くなった10人の女性の追悼文のビデオに出会った。トップに出ていたのがクリスチーナさん(22)だ。この人は、3回目のワクチン接種の後、大学の寮で亡くなっていた。ある日、母親を警官が訪ねて来て「娘さんが寮で亡くなっていた」と知らされた。私はワクチンで死亡するとすれば免疫が強く働いて多臓器不全で亡くなると思っていた。そうではなかった。突然死なのである。
ジャスミン・レナータさん(18)はニュージーランドの人で、1回目のワクチン接種から約1年目に亡くなった。突然死だと、何も記録を残せないが、唯一、ジャスミンさんの場合は母親の手記で経過が分かる。死亡後、彼女の脳の一部がカナダの大学に送られ調べられたが、ワクチンのウイルス様粒子(VLP)が脳の血管に付着し血管炎が起こっていたというショッキングなことが分かった。
エイミーさん(13)は、お母さんが離婚して1人で育てていた。子供にいいことは何でもやろうということでワクチンを接種した。2週間後、友人の家に行く途中に車中でてんかん発作を起こした。最初は、薬物をやっていたのでないか、演技しているのではないかと責めたてられた。入院後、大発作が起き、血圧が上がって意識が無くなり、人工呼吸器が着けられ、鼻から管による流動食になった。写真を見たら、脳にひどい障害が起きたことが一目で分かるだろう。
アメリカの政府機関のFDAとCDCが運営しているワクチン有害事象報告システム(VAERS)というのがある。ガーダシル、サーバリックス合わせて副反応が3万件、138人の死亡が登録されている。報告されない限り数には入らない。薬剤の副反応の実際の数は10倍だとする論文がある。だから1000人くらい亡くなっていると考えなければいけない。VAERSには「仕事ができない状態、学校に行けない状態」の項目がある。この項目の最近の報告は約1000人なので実際には1万人くらいいると予想される。
日本での副反応では、痙攣と激しい痛みに苦しめられている人が多い。最初に重篤な副反応として報じられた杉並区の少女の映像がテレビで流された。手足が動くとき、脳から電気刺激が送られている。脳には手、足などの運動を担当する部分がそれぞれあり、足を担当する部分から必要のない信号がずっと来るため足が動き続けている。脳の中の異常な電気信号が脳全体に広がっていくと、てんかんの状態になる。
手が痛いという場合、手から痛みの信号が脳に届き、脳で痛いと感じる。ワクチンの副反応で痛みが起こっている場合、リウマチのように腫れて痛いのではない。知覚神経が傷つき、神経繊維に異常な電流が流れ、脳に伝わって痛いと感じるのだ。
しかし、一つのワクチン注射で、なぜこれほど多様な副反応が起きるのだろうか。おそらく一つのことがいろいろな形で現れ「群盲象をなでる」という状態になっている。
それを解く鍵を提供してくれたのが、神戸大学の積山、宮崎、塩澤の3先生が書かれた、抗原負荷がある限界を超えると全身性エリテマトーデス(SLE)の状態に移行する、という論文だ。SLEの症状は、頬が赤くなる光線過敏症が特徴とされるが、腎炎を起こすことで知られている。心臓の周りや肋膜に水が貯まったりすることもある。中枢神経ループスという疾患概念があり、教科書を見ると頭痛、痙攣、てんかん発作、麻痺など、ワクチンの副反応でみられる脳の症状がすべて該当する。
米国の例だが、You Tubeにある「24Hours News8」という報道番組では、10人くらいの少女が集められ、ワクチンを打った後の様子を話し合っている。その少女たちが、痛みがとてもひどくて医者に行くと、SLEと診断される、と述べている。SLEが起こった上で、神経障害が起きていると考えたほうがよい。
SLEは20歳頃から増える女性に多い病気だ。普通10代ではSLEはありえない。厚労省の副反応報告書には、SLEは3例しか載っていないが、それは副反応として書かれた症状名を検索したにすぎないからだ。一つ一つ見ていくと130人くらいがSLEと診断できる。
また、10代の少女に大動脈炎症候群(脈無し病)が起こっている。注射時、心停止が起こったと書かれているのもある。医師なら驚かなければならないのに、厚労省ワクチン検討部会の委員たちは全然驚いていない。この人たちは管理者や研究者として臨床の現場から離れているため、症状の深刻さ、悲惨さが頭に浮かばないのだろう。検討部会は厚労省側が資料を読み上げるのがほとんどで、議論もあまり行われない。
こんな状況だから、副反応の被害者の存在を言い続けなければならない。そうしないと副反応は起こってない、ワクチンは安全だとされ、元の方針に戻されてしまう。被害者もいないことにされ救済されなくなる。










