沖縄方言と琉球独立運動
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
9月18日は「しまくとぅばの日」。「しまくとぅば」(島言葉)は沖縄の方言のことで、「しまくとぅば」の普及、継承を目的に沖縄県が平成18年に条例で制定した。
「しまくとぅば」の復興と継承に取り組む「しまくとぅば連絡協議会」(照屋義実会長)はこのほど、県議会と県教育庁を訪れ、「しまくとぅば」の保護・強化に関する条例を制定するよう陳情した。具体的には学校で「しまくとぅば」の授業を設けるべきだという内容だ。
ところが、島嶼(とうしょ)県の沖縄では地域で方言が大きく異なる。ひとくくりにすることは事実上不可能なのだ。
「ありがとう」は、沖縄本島では「ニフェーデービル」だが、八重山諸島では「ミーファイユー」「フコーラサーン」、宮古島では「タンディガータンディ」、与那国島では「フガラッサー」とまったく違う。
「那覇・首里主導で方言の復興運動が進めば、離島の人々は納得するはずがない」と離島出身のジャーナリストは話す。離島地域はかつて、那覇・首里に人頭税などで虐げられてきた歴史があり、感情的に受け入れられない」という。
翁長雄志(おなが・たけし)那覇市長が「ウチナーンチュ(沖縄県民)のアイデンティティー」と「しまくとぅば」普及運動の先頭に立っているが、全県的に広げるのは簡単ではなさそうだ。
さらに厄介なことに、「しまくとぅば」の普及を推進している団体の中には「琉球独立」を主義主張に掲げたり「本土からの差別」を訴えたりするなど、日本本土との分断を画策する組織が数多く名を連ねている。
地元紙によると、地元の方言を使える沖縄県民は35%だという。(T)