「特別警報」に振り回される
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
大型の台風8号が8日から9日にかけて沖縄を襲った。沖縄気象台は8日午前6時、「暴風特別警報」を発表。続いて、午後3時58分、沖縄本島地方に「大雨特別警報」を発表した。
特別警報は、「数十年に1度の強さ」で自然災害が見込まれる時に出される。東日本大震災を教訓に、昨年8月30日に運用開始されたもので、今回初めて発表された。特別警報は前例がなく、関係機関は対応に苦慮していた。
暴風の主な被害としては、那覇市首里にある世界遺産で、琉球王国の第二尚氏王統の歴代国王が葬られている陵墓「玉陵(たまうどぅん)」の入り口のスロープが大きくずれ、入り口の門が吹き飛ばされた。また、大木やガードレールが折れたり、水道タンクが屋上から落下したりする被害が報告された。
大雨による被害も大きかった。沖縄気象台は9日未明、大雨特別警報を大雨注意報に切り替えたが、午前7時31分には再び大雨特別警報を出した。
特別警報に振り回されたのは子供たちだ。沖縄県教育庁は、午前7時5分に「午前中のみ休校」を決定した。この時、一部の生徒児童は豪雨の中、冠水した道路を恐る恐る登校していた。「終日休校」が決まったのが午前10時20分で、これまた遅かった。
沖縄の41自治体のうち22の自治体、約60万人に避難勧告が出された。ところが、冠水など大きな深刻な被害が出た読谷村(よみたんそん)では避難勧告は出ていなかった。
一方、宜野湾市は、いち早く市全域に避難勧告を出した。災害対策本部長を務めた佐喜真淳市長は、「何事にも万全を期さなければならない」と説明。深刻な被害はほとんどなく、安堵(あんど)の表情を見せた。(T)