「純化」志向する米保守派、ワシントン郊外で年次集会

茶会系ポール氏が模擬投票1位

 全米最大の保守派の年次集会「保守政治行動会議(CPAC)」が6日から3日間、ワシントン郊外で開催された。2016年の次期大統領選出馬をうかがう野党共和党の有力者たちが続々と登壇。参加者による模擬投票では、草の根運動「ティーパーティー(茶会)」が支持するランド・ポール上院議員が1位になった。大統領選に向け、保守純化路線を志向する草の根保守派と、無党派層などの取り込みを狙って中道寄りの候補を擁立したい党エリート層の間で、対立が一段と先鋭化しそうだ。(ワシントン・早川俊行、写真も)

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6日、米ワシントン郊外で開かれた「保守政治行動会議(CPAC)」で演説するクリス・クリスティー・ニュージャージー州知事

 共和党の有力大統領候補たちがCPACで演説するのは、恒例行事となっている。共和党支持者の3分の2を占める保守派の支持を得ることなしに、大統領候補指名争いを勝ち抜くことは不可能だからだ。

 全米の保守派団体幹部や草の根活動家が一堂に会するCPACは、共和党の有力候補たちにとって、保守層への浸透を広げる貴重な機会。一方、参加者にとっても、最も理想的な大統領候補は誰かを見極める「品定め」の場となっている。

 共和党内では、エリート層と茶会系団体・議員による路線対立が激化している。昨秋の財政協議では、強硬な茶会に引っ張られ、政府機関の一部閉鎖に発展。現実的な対応を模索するエリート層と一切の妥協を拒否する茶会との間で不信感は深まる一方だ。

 CPACで演説した有力者の中で、エリート層のお気に入りと言われているのが、クリス・クリスティー・ニュージャージー州知事。中道寄りの姿勢が、無党派層や中南米系などにも支持されると見ているためだ。

 クリスティー氏は12年の大統領選直前にオバマ大統領のハリケーン対応を絶賛して顰蹙を買い、昨年のCPACには招かれなかった。このため、今回は保守派の不信感を払拭しようと、痛烈なオバマ氏批判を展開した。

 その一方で、クリスティー氏は「民主主義の現実を思い出してもらいたい。選挙に勝てなければ、統治できないのだ」と強調。保守主義の理念を重視しつつも、幅広い支持を得られる「勝てる候補」を擁立すべきだと訴えた。

 対照的に、保守主義の理念を貫くことが何より重要だと説いたのが、茶会から熱烈な支持を受けるランド・ポール、テッド・クルーズ両上院議員だ。

 ポール氏は「私は1インチも引き下がらない」と、保守主義に反する譲歩や妥協は一切しない姿勢を強調し、拍手喝采を浴びた。

 また、クルーズ氏は08、12年の大統領選で穏健派のジョン・マケイン、ミット・ロムニー両氏を擁立して大敗したことを例に、「理念のために戦わない時、喜ぶのは民主党だ」と主張。逆に、10年の中間選挙では、茶会旋風で共和党が大躍進したことから、保守主義の理念を堂々と訴えれば、選挙に勝てるとの見方を示した。

 同じく茶会系のマルコ・ルビオ上院議員は、「過去数年間の欠陥外交を見過ごすことはできない」と、オバマ政権の内向きな外交姿勢を厳しく批判。中国の海洋進出にも強い警戒感を示した。このほか、ポール・ライアン下院予算委員長、リック・ペリー・テキサス州知事らが演説した。

 CPAC参加者が共和党の大統領候補を選ぶ模擬投票では、得票率31%のポール氏が大差で1位になった。2位は11%のクルーズ氏。クリスティー氏は8%で4位にとどまった。茶会系が上位を占めたことからも、保守派内では純化路線への支持が根強いことが浮き彫りになった。