2歳の男児死亡事故、執刀医らの賠償義務を認定
鎮静剤を大量に投与、弁済した東京女子医大への請求は棄却
東京女子医科大病院(東京都新宿区)で2014年、当時2歳の男児が死亡した事故は、鎮静剤「プロポフォール」を大量に投与するなど病院側の術後管理が原因だとして、両親が執刀医や麻酔科医ら7人に総額1億8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、東京地裁であった。男沢聡子裁判長は執刀医ら5人に計約6000万円を賠償する義務があると認定したが、同大が既に約1億円を両親に弁済したとして、請求自体は棄却した。
男沢裁判長は、執刀医や担当医は男児への麻酔薬投与による鎮静が長期にわたる可能性や、その危険性を説明すべきなのに怠った義務違反があると指摘。麻酔科医3人が多量のプロポフォールを長時間使用したことも注意義務違反に当たり、「死亡との相当因果関係が認められる」と判断した。
一方で、執刀医らの使用者である東京女子医大が15年に計約1億円を両親側に供託する手続きを行ったことを挙げ、賠償すべき債務は全額消滅したと結論付けた。両親は、供託は事故後に同大からクレーマー扱いされるなどの精神的損害に対する賠償だと主張したが、退けられた。
判決によると、男児は14年2月18日に同病院でリンパ管腫を治す手術を受け、集中治療室で経過観察中の同21日に死亡した。
判決を受け、東京女子医大の岩本絹子理事長は「患者の尊い命、将来を奪ってしまい、心よりおわびする。患者に寄り添う医療の提供に向け、教職員一丸となって取り組む」とコメントした。