コロンビア大統領選、右派と左派の決選投票へ
右派勝利なら和平見直しも
南米コロンビアで27日、ゲリラとの和平合意でノーベル平和賞を受賞したサントス大統領の任期満了に伴う大統領選挙が実施された。即日開票の結果、対ゲリラ強硬派の右派イヴァン・ドゥケ前上院議員(41)が首位に立ったが、過半数には届かず、次点で元左翼ゲリラ出身のグスタボ・ペトロ前ボゴタ市長(58)との決選投票が6月17日に実施される。
現地選管の発表によると、開票率99%の時点で、ドゥケ氏の得票率が39・1%、対するペトロ氏の得票率は25・1%だった。サントス大統領の実質的な後継候補だったヘルマン・バルガス前副大統領(56)は、得票率7%と伸びず落選した。
今回の大統領選挙で最も争点となっていたのは、左翼ゲリラ組織との和平合意と交渉の行方だ。現職のサントス大統領は2016年に同国最大の左翼ゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)との和平合意を実現、半世紀以上に及ぶ内戦の集結にめどをつけた。現在、FARCは武装解体に応じた後に合法政党として活動しており、和平合意によって上院と下院に計10議席を持っている。
ただし、誘拐や麻薬密売を資金源としたほか、国内で30万人もの犠牲を出す内戦の元凶ともなったゲリラに対する処罰は厳しいものとは言えず、和平合意内容に不満を抱える国民も多い。サントス大統領の支持率は現在、約20%と低迷している。
こうした中、ドゥケ氏は、FARCに対してより厳しい処罰等を行うべきだと和平合意内容に反対しており、同氏が当選した場合には、和平合意の見直しに着手する可能性が高い。
一方のペトロ氏は、和平合意を支持、汚職撲滅や教育の無償化など社会保障政策を重視する政策を打ち出している。決選投票では、3位の中道左派のセルヒオ・ファハルド元メデジン市長(61)の動向が鍵となりそうだが、現時点ではドゥケ氏優勢との見方が優勢となっている。
また、今回の大統領選挙では、世界的な資源価格の低迷で低成長に落ち込んでいる経済の回復も焦点となっている。
(サンパウロ綾村悟)