マクロン氏訪米を教訓に
米コラムニスト マーク・ティーセン
民主党は「抵抗勢力」
互いに敬意払う米仏大統領
共和党の歴史の中で初めて上院外交委員会の過半数が、大統領指名の国務長官候補の承認に反対する可能性が高まっている。そうなれば、マイク・ポンペオ氏の経歴に傷が付くだけでなく、名高い委員会の評判も損なわれることになる。
外交委員会が国務長官の指名に反対すれば、最初にこのような表決が初めて公開で行われた1925年以来初となる。それ以前は非公開で行われていた。民主党のジョン・ケリー氏は、全会一致で承認された。共和党のランド・ポール上院議員も賛成票を投じたうちの一人だが、ポンペオ氏には反対している。
民主党のヒラリー・クリントン氏の表決は、クリントン財団への外国からの寄付をめぐる懸念があったものの、16対1で承認された。マデレーヌ・オルブライト氏も全会一致で支持された。私のかつてのボス、ジェシー・ヘルムズ上院議員はオルブライト氏を「タフで勇敢な女性」と呼んで強く支持し、外交への考え方は一部間違っていると言いながらも、賛成票を投じた。
民主党のウォーレン・クリストファー、サイラス・バンス両氏も全会一致で承認され、共和党のコリン・パウエル、ジェームズ・ベーカー、ジョージ・シュルツ各氏も同様に全委員の賛成を得た。外交委員会で2票以上の反対票が投じられた候補はヘンリー・キッシンジャー氏以降、トランプ氏が大統領になるまでいなかった。
◇民主党委員が反対
昨年、民主党の委員10人全員がレックス・ティラーソン氏に反対票を投じた。共和、民主両党で真っ二つに割れた表決で承認された初の国務長官となった。現在、10人の民主党委員とポール氏がポンペオ氏に反対しているため、ポンペオ氏は間もなく、外交委員会が指名に反対する初の国務長官候補となりそうだ。
はっきりとした理由はない。倫理的な問題はない。資質を疑われるような行動もない。この職務に適格であることを疑う人もいない。民主党のカーディン上院議員も、ポンペオ氏は「軍で、議会で、CIA(中央情報局)長官として、国家に奉仕してきた確かな経歴がある」と述べている。民主党のマーフィー上院議員は、ポンペオ氏について「国務省内に士気を取り戻すために尽力し、国務長官としてこの外交のための機関を委縮させることなく、支えてくれると思う」と述べた。だが、この2人は反対票を投じる。10人の民主党委員のうち9人はすでに、ポンペオ氏への反対を表明している。そのうちの2人、ケーン、シャヒーン委員はポンペオ氏のCIA長官指名には賛成していた。
ちょうど今、トランプ大統領は、北朝鮮の指導者、金正恩氏との核をめぐる重大な会談の準備を進めている。ポンペオ氏は北朝鮮を訪問したばかりだ。金正恩氏と会い、歴史的会談の下準備をした。民主党は、その行動が北朝鮮にどのように映るかを自らに問うてみるべきだ。このような外交的に重要な時に、ポンペオ氏指名に不当に反対することは、委員会の責任の放棄であり、恥ずべきことだ。
◇資質を慎重に検証
2世紀にわたって外交委員会は、大統領の国務長官指名者の資格、資質を慎重に検証した上で、大統領は適切な外交トップを選択したはずだと判断し、承認してきた。その前例を覆すことにもなる。上院議員が、指名承認を特定の外交課題に関して約束を取り付けるためのてこに利用することはある。ヘルムズ氏は、国連を改革し、国務省を再編する計画でオルブライト氏と協力したと主張している。オルブライト氏はこれを実行した。有能な上院議員は、指名承認を政治の戦いに勝利するために利用する術を知っている。しかし、大統領を見下しているからといって、十分な資質を備えた候補者に反対することは、全く不当であり、率直に言えば、上院の規範に反する。
指名に反対すれば、ポンペオ氏よりも、外交委員会が傷つくことになる。共和党のマコネル上院院内総務は、委員会での表決がどうであれ、指名を本会議に諮る。ヘイディ・ハイトカンプ氏のように、ポンペオ氏支持を表明している一部の民主党上院議員は、賛成票を投じるはずだ。ポンペオ氏が上院本会議で承認されれば、同氏は当然、造反議員、上院指導部と密接に協力すること、政策も法律も作れず、指針も示せない委員会を無視することが国務省にとって一番の利益になると判断することになる。
(4月20日)