進化論側最後の砦が崩壊 ジャンクDNAの機能 続々解明
進化論vsID理論 20年戦争 (7)
2011年、ID派生物学者ジョナサン・ウェルズ博士は『ジャンクDNAの神話(The Myth of Junk DNA)』を出版した。
ダーウィン進化論者は人間のDNAには繰り返し配列など機能しないジャンク(ゴミ)が非常に多いとし、それはDNAの断片が挿入されたり、切断されたりの偶然の積み重ねのプロセスが繰り返されてきたからこういうものがあるのだと主張してきた。
こうした主張を著書などで書いてきた進化論者には英国のリチャード・ドーキンズ、米国のダグラス・フツイマらだけでなく、ヒトゲノムプロジェクトの総責任者を務めたフランシス・コリンズも含まれている。同氏は現在、米国立衛生研究所(NIH)所長である。
しかし、ウェルズ博士は同書で、ジャンクとみられていた多くの部分が機能を持っていたことを解明した1990年代以降の多数の論文を例示することによって進化論者の主張が完全に間違っていたことを示した。
例えば、進化論者たちはかつてヒトゲノムの2%程度しか遺伝子はなく、それ以外はほとんどジャンクであろうと言っていた。
遺伝子のコード(遺伝暗号)は一度、伝令RNAというコピーに写し取られ(転写)、それがリボソームという分子機械に運ばれて、アミノ酸が連結されることにより、タンパク質が合成される。以前はこの遺伝子からタンパク質合成の流れをもって機能のほぼ全部だと考えていたのである。
だが、ヒトゲノムの機能解明に取り組む国際プロジェクトENCODEは2007年、「人間のDNAは、あまねく転写されていて、すなわち、それは機能を意味する」と述べている。
具体的には、かつてジャンクと言われていた繰り返し配列などからも機能性RNAが転写され、それが調節などの重要な役割をしているのである。RNAはDNAと似た分子で、かつては伝令RNAのような補助役しかしていないと思われていたが、さまざまな形の機能性RNAとして重要な機能を果たしていることが分かってきたのだ。ウェルズ博士はこう述べている。
「2012年までの1640の成果に基づけば、人間の少なくとも一つの種類の細胞に関してはDNAの80・4%が生化学的に機能を持っている。ENCODEはこれまでにほんの一部の種類の細胞しかサンプリングしていない。今後、もっと多くのことが解明されるだろう。しかし、ほとんどがジャンクだと想定して(研究を)始めてはできないことなのだ」
ダーウィン進化論者はこれまでに、ヘッケルの胚の比較図とか化石の証拠などをもって同進化論が真実であると説得してきた。しかし、それらは偽造、ミスリードなどで証拠とは言えないものばかりだった(同博士著『進化のイコン』参照)。「ジャンクDNA」はダーウィン進化論者たちにとって「最後の砦」(同博士)であったが、完全に崩壊したのである。
(編集委員・原田 正)