「第2のレーガン」探す保守派、米首都郊外で年次集会

共和党エリート層に反発

 全米の保守派活動家が一堂に会する年次集会「保守政治行動会議(CPAC)」が2月25日から28日まで、ワシントン郊外のホテルで開催された。2016年次期大統領選に向け、共和党のエリート層が穏健派候補の擁立に動く中、これに反抗する草の根保守層が確たる保守哲学を持った「第2のレーガン」を探し求める構図が鮮明になった。(ワシントン・早川俊行)

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2月26日、米ワシントン郊外で開催された「保守政治行動会議(CPAC)」で演説するスコット・ウォーカー・ウィスコンシン州知事(早川俊行撮影)

 CPACでは例年通り、大統領選出馬をうかがう共和党の有力者たちが次々に演説。来年1月に始まる党候補指名争いまで1年を切っていることから、それぞれ保守層への浸透を狙い、保守主義への“忠誠心”を競い合うようにアピールした。

 中でも注目を集めたのが、27日に登壇したジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事だ。ブッシュ氏は党エリート層やウォール街の大口献金者らから支持されているが、穏健な政治姿勢が保守派の反感を買っている。このため、ブッシュ氏がCPACでどのようなメッセージを発するのか、注目されていた。

 ブッシュ氏は知事時代の実績を挙げながら、自身を「実践的で改革精神を持った保守主義者」とアピール。ただ、保守派が強く反対する不法移民に市民権獲得の道を開く移民制度改革や全米統一学力基準「コモンコア」については、支持する考えを改めて表明するなど持論は譲らなかった。

 草の根保守層は共和党エリート層に不信感を募らせている。過去2回の大統領選で、共和党は2008年がジョン・マケイン上院議員、12年はミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事と、エリート層が推す穏健派が候補になったが、ともにオバマ大統領に敗れている。エリート層は無党派票を取り込めるとの判断から穏健派候補を好むが、党の支持基盤である保守派を遠ざける結果を招いている。

 このため、草の根保守層の間では、次期大統領選は支持基盤を鼓舞できる強固な保守哲学を持った候補を擁立しなければならないとの思いが強い。90歳の伝説の保守派活動家フィリス・シュラフリー女史は「また負ける候補を指名していいのか」と、エリート層が推す穏健派候補を阻止すべきだと訴えている。

 草の根保守層は予備選・本選を勝ち抜ける強力な候補を探し求めている状況だが、最近、支持を急速に広げているのが、スコット・ウォーカー・ウィスコンシン州知事だ。26日のCPACでの演説では、過激派組織「イスラム国」に対するオバマ大統領の弱腰姿勢を厳しく批判。知事として労働組合と対決した経験を踏まえ、「10万人と戦える私なら、世界でも同じことができる」と、力強い演説で喝采を浴びた。

 CPAC参加者による共和党候補選出を想定した模擬投票で、ウォーカー氏は勢いを示すように、得票率21・4%で2位につけた。7%で6位だった昨年から大きく躍進した。

 1位は3年連続でランド・ポール上院議員(得票率25・7%)。ポール氏は政府の役割の極小化を求めるリバタリアン(自由至上主義者)で熱狂的な支持層を持つが、最近は孤立主義的な対外姿勢が批判されることが増えている。

 3位はテッド・クルーズ上院議員(同11・5%)、4位は元神経外科医のベン・カーソン氏(同11・4%)。ブッシュ氏は5位(同8・3%)にとどまった。ブッシュ氏と同じ穏健派のクリス・クリスティー・ニュージャージー州知事も10位(同2・8%)に低迷した。