トランプ支持者ら 米議会に侵入、占拠


審議一時中断、4人死亡

 米大統領選の選挙人投票集計が行われていた首都ワシントンの連邦議会で6日、周辺で抗議活動をしていたトランプ大統領の支持者の一部が議事堂に侵入し、窓を壊すなどして、建物を一時占拠した。議会は一時審議を停止し、進行役を務めたペンス副大統領や議員らが避難する事態となった。

 ワシントンの警察によると、この混乱の中、議事堂内で女性が警察官に銃で撃たれて死亡するなど4人が亡くなったほか、52人が不法侵入の疑いで逮捕され、14人の警察官が負傷した。議会周辺では、選挙不正について抗議する支持者たちが議事堂の壁や就任式のために設置された観客席によじ登ったり、巡回する警察官たちに罵声を浴びせたりする光景も見られた。

 トランプ氏はツイッターに約1分間の映像を投稿し、支持者に対し「われわれは法と秩序を保たなければならない」と強調した上で、「あなたの痛みや気持ちは分かる。だが今は家に帰るべき時だ」と自制を求めた。

 一方、バイデン前副大統領は「民主主義は前例のない攻撃を受けている。われわれはこの暴徒が撤退し、民主主義を前進させるよう呼び掛ける」と非難した。

 その後、催涙ガスなどによってデモ隊は排除され、6日夜に審議が再開された。ペンス氏は、議会で侵入した人たちに向けて「あなたたちは勝利者ではない。暴力ではなく自由が勝利する」と訴えた。

 トランプ氏はこれらに先立ち同日昼すぎ、ホワイトハウス近くの広場に設置されたステージに登壇し、「急進左派の民主党員や偽ニュースのメディアによって選挙の勝利が盗まれた」と選挙不正を改めて主張。「ここにいる全員が間もなく国会議事堂に行進し、平和的で愛国的にあなたたちの声を届けると知っている」と述べ、平和的な抗議活動を呼び掛けていた。

 その後、支持者たちは星条旗や「トランプ2020」と書かれた旗を掲げ、USAコールなどを唱えながら、連邦議会に向かって行進した。

(ワシントン 山崎洋介)