米大統領選やり直しを-保守派組織がWT紙に意見広告
米大統領選の開票をめぐって混乱が深まる中、草の根保守運動「ティーパーティー(茶会)」系の組織「ウィー・ザ・ピープル・コンベンション(WTPC)」が、米紙ワシントン・タイムズ(1日付)に「戒厳令を敷いて大統領選のやり直し」を求める全面意見広告を掲載し、波紋を呼んでいる。
広告は、リンカーン大統領が南北戦争中の1863年に「人身保護条例の停止」によって、北軍内の反乱を抑え込もうとしたことを引き合いに出しながら、「不正の目撃証言、物的、統計的、数学的証拠があり、少なくとも国民の半分は不正選挙を受け入れていない」と指摘。「限定的戒厳令」のもとで「紙の投票用紙、両党の監視下での手作業の集計」による再投票を求めている。
トランプ大統領から恩赦を受けたばかりのフリン元大統領補佐官(国家安全保障担当、元陸軍中将)はSNSで、戒厳令下の再投票に支持を表明。トランプ陣営の法律チームの一員だったシドニー・パウエル氏も、軍の動員と就任式の延期を求めた。トランプ氏の盟友ロジャー・ストーン氏、軍事アナリストのトム・マキナニー元空軍中将らもこれに同調している。
一方、法律専門家や軍事専門家らはこの主張に反発。シラキュース大のビル・バンクス教授は、米軍事専門サイト「ミリタリー・タイムズ」で、「民間の統治機構が完全に崩壊したわけではない米国で戒厳令はあり得ない」と主張した。
ホワイトハウスからの反応は出ていないが、トランプ氏は2日の演説で、最高裁が「適切」な判断を下せば「再投票」もあり得るとしながらも、「適切ではないと思う」と述べている。
(外報部・本田隆文)