不自然な集計事例相次ぐ 米大統領選


不正から民主主義を守れ

ミシガン州 開票率91%から94%の間に得票数バイデン氏約14万 トランプ氏0

ペンシルベニア州 投票日以降に到着の郵便投票で消印のないものまで集計

 米大統領選は共和党のトランプ大統領が法廷闘争に出たことで、最終的な結果判明まで時間を要する見通しとなった。大統領選が泥沼化することは決して望ましい事態でない。だが、不正が疑われる事例が相次いでおり、これを放置すれば民主主義の根幹が揺らぐ。勝者が誰になるにせよ、選挙の公平性、透明性、正統性を守るためには避けて通れないプロセスと言えるだろう。

 勝敗のカギを握る中西部ラストベルト(さび付いた工業地帯)3州の一つ、ミシガン州では、開票作業で不自然な出来事が起きている。開票率91%から94%の間に、民主党候補バイデン前副大統領の得票数が一気に約14万票も増えたのに対し、トランプ氏は1票も増えていないのだ。単純なデータエラーを修正した結果とされるが、それが事実だとしても、その間、トランプ票が1票もないというのは明らかに不自然である。

 米保守系オピニオンサイト「フェデラリスト」によると、「謎のバイデン票の急増」は、同じラストベルトの激戦州であるウィスコンシン州でも起きている。両州では郵便投票の開票作業が進むにつれ、バイデン氏が追い上げる状況になっていたものの、トランプ氏優勢で進んでいた開票作業が異常なほど短時間のうちにバイデン氏優勢に急変した理由の一つはこれだ。

 ペンシルベニア州は、投票日以降に到着した郵便投票で消印がないものまで集計するとしている。消印がなければいつ、どこから送ったのか分からない。これでは投票日後に送った郵便投票までもカウントされることになってしまう。

 実際に不正があったかどうかは分からないが、新型コロナウイルス対策で郵便投票が大幅に拡大された今回の大統領選では、不正の余地が広がり、疑わしい事例が起きていることは紛れもない事実だ。「反トランプ」の大手メディアは、法廷闘争に出たトランプ氏を民主主義の破壊者との非難を強めることが予想されるが、不正を放置することこそが民主主義を破壊する行為である。

 米国が世界の民主主義国のリーダーであり続けるためにも、再集計などを通じて疑惑や不正を徹底的に取り除き、国民が納得する形で大統領を選出することが望まれる。

(編集委員・早川俊行)