初の直接対決、TV討論会 コロナ・秩序で非難応酬
トランプ氏「治安維持に及び腰だ」
バイデン氏「大統領が分断を生む」
11月の米大統領選に向けた共和党候補トランプ米大統領(74)と民主党候補バイデン前副大統領(77)による第1回のテレビ討論会が29日、中西部オハイオ州クリーブランドで行われた。新型コロナウイルスへの対応、法と秩序、連邦最高裁判所判事の指名などをめぐって激しい応酬を繰り広げた。
トランプ氏は冒頭から、バイデン氏の発言をさえぎって持論を展開するなど、攻撃的な姿勢に終始した。これに対しバイデン氏は「黙ってくれないか」と反発しつつ、自身もトランプ氏の発言中にたびたび同氏を非難するなど、混沌(こんとん)とした展開になった。
米国で死者数が20万人を超えた新型コロナへの対応についてバイデン氏は、トランプ氏が2月に事態の深刻さを知っていたのに対応を怠ったとし、「大統領には何の計画もない」と非難。これにトランプ氏はバイデン氏が政府が1月下旬に決めた中国からの入国禁止措置に反対したと指摘し、同氏が大統領だったら「はるかに多くの人々を失っていただろう」と主張した。
人種問題をめぐってバイデン氏はトランプ氏がデモ隊に催涙ガスを用いるなどして「人種的憎しみや分断を生み出そうとしている」と非難。トランプ氏は、「われわれは法と秩序を信じているが、あなたがたはそうでない」と述べ、バイデン氏が党内左派の反発を恐れ、治安維持に及び腰になっていると訴えた。
トランプ氏は大統領選が迫る中、新たな最高裁判事候補を指名したことについて、「われわれは選挙に勝ったので、選ぶ権利がある」と主張。一方でバイデン氏は、すでに大統領選の投票が始まっているとし、「選挙の結果がどうなるのか待つ必要がある」と述べ、次期大統領によって指名がなされるべきだと訴えた。
CBSテレビが討論会後に行った世論調査によると、バイデン氏を勝者とした人が48%だったのに対し、トランプ氏は41%だった。また、互いの個人攻撃が目立った展開を反映して、討論のトーンが否定的だったと考える人は83%、議論が有益だと答えた人はわずか17%だった。
(ワシントン 山崎洋介)