シンクタンクが新たな標的に FBI


中露など 情報提供者の獲得が狙いか

 中国などの工作員が米首都ワシントン地域のシンクタンクを新たな監視の対象にしようとしている。連邦捜査局(FBI)特別捜査官、マシュー・オブライエン氏がワシントン・タイムズに明らかにした。

 オブライエン氏によると、中国、ロシア、イランのグループが、シンクタンクのネットワークに侵入して、政策をめぐる議論を監視し、信頼できる情報源を獲得しようとしている。標的となっているのは、連邦政府に近いシンクタンクで、研究内容や思想的傾向などは無関係だという。

 オブライエン氏は「シンクタンクは強い影響力を持つ。研究の多くは公表されるが、これらの外国勢力が関心を示しているのは、シンクタンク内の個人の間の意見の相違を把握することのようだ」と指摘、情報を盗み出すことではなく、情報提供者を探すことが主目的であることを強調した。

 また、ハッキングによる侵入が困難な場合は、シンクタンクのオフィスに直接、侵入し、コンピューターのキー操作を記録するキーロガーを仕込んで、セキュリティーを回避するための認証情報の入手方法を探ることもあるという。

 オブライエン氏は「シンクタンクからの報告によると、扉が開いた隙を狙って入り込み、アクセスできる場所を探っている。(ハッキングなど)洗練された方法が使われると思うかもしれないが、いつもそうとは限らない。警備の隙を突いて入ってくることもある」と指摘した。

 オブライエン氏によると、FBIは、これまでにも大学に侵入するために同様の方法が取られてきたことを把握しており、キャンパスや研究所の見学を求め、内部情報を入手しようとしたケースも報告されている。

(ワシントン・タイムズ特約)