米大統領 オレゴン州に、暴動対応で連邦職員派遣
地元民主党市長は反発
50日以上も暴力的な抗議デモが続く異常事態となっている米西部オレゴン州ポートランドに対し、トランプ米政権は法執行機関の職員を派遣して対応に乗り出した。
これについて、地元市長は「事態をエスカレートさせている」と反発するなど対立が強まっている。一方、トランプ大統領は、民主党が市長を務める都市の対応が不十分だとして、シカゴやニューヨークなどにも連邦政府の法執行官を派遣する考えを明らかにした。
ポートランドでは先週、国土安全保障省の職員ら連邦政府の法執行官が取り締まりを実施した。これについてウィラー市長(民主党)は19日のCNNテレビで、法執行官が適切な手続きなしにデモ参加者を拘束したケースがあったとし、「すでに危険な状況をさらにエスカレートさせている」と非難。
オレゴン州当局は、身元不明の連邦捜査官が「警告や説明、令状なしに」デモ参加者を拘束したとして、連邦機関に対して訴訟を起こした。
一方、ウルフ国土安保長官代行は21日の記者会見で、連邦政府の施設が標的になっているとした上で、法執行官は「犯罪行為を犯していると特定された人々だけを標的とし、逮捕している」と反論。
またホワイトハウスのマクナニー報道官は21日の会見でウィラー市長らが「自分たちの都市が統制を失ったことを認めたがらない」ため事態が悪化していると批判した。
トランプ氏は11月の大統領選をにらみ「法と秩序」を重視する姿勢を前面に出すことで、保守層などにアピールする狙いがある。一方、ウィラー氏側には、長期化する混乱の責任をトランプ氏に転嫁したい考えもあるとみられる。
トランプ氏は20日、記者団に、今後の法執行官の派遣について「シカゴやニューヨークも検討している」と表明。
ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、デトロイト、ボルティモアなど都市名を挙げ、「この国でこうした事態は認められない。すべてリベラルな民主党員が市長を務めている」と批判し、治安強化に乗り出す考えを示した。
(ワシントン・山崎洋介)





