北の飛翔体は「弾道ミサイル」 日米断定


国連安保理決議に違反

 米国防総省は9日、北朝鮮が同日発射した短距離ミサイルとみられる飛翔体について「複数の弾道ミサイル」だったと断定した。岩屋毅防衛相も「短距離弾道ミサイルを発射したとみられる」と述べた。

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9日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が指導した西部戦線防衛部隊の火力打撃(攻撃)訓練(朝鮮通信・時事)

 国連安保理の制裁決議は、あらゆる弾道ミサイルの発射を禁じており、今回の発射は決議違反となる。北朝鮮の非核化をめぐり交渉が停滞する中、米朝間の緊張がより高まる可能性がある。

 国防総省によると、北朝鮮は米東部時間の9日未明に北西部から複数の弾道ミサイル発射を実施。ミサイルは東方に300㌔以上飛行し、海上に落下したという。北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、2017年11月の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」以来となる。

 これに先立ちトランプ米大統領はホワイトハウスで記者団に、飛翔体発射について「我々は極めて深刻に見ている。誰もうれしいこととは思っていない」と不快感を表明。米朝関係は続くとしつつも、「彼らに交渉の準備ができているとは思わない」と述べ、今後の北朝鮮の出方を慎重に見極める姿勢を示した。

 岩屋氏は、日本の安全保障に直ちに影響はないとしつつも、「弾道ミサイルの発射は国連安保理決議に明白に違反するもので、誠に遺憾だ」と非難した。

 一方、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は10日、北朝鮮の西部戦線防衛部隊が9日に「長距離打撃(攻撃)手段」の訓練を行い、金正恩朝鮮労働党委員長が立ち合ったと報じた。同日付の党機関紙・労働新聞(電子版)に掲載された写真から、この打撃手段は移動式発射台から発射された可能性がある。

(ワシントン 山崎洋介)