文政権は経済政策の失政を認めよ
最低賃金上げで庶民の雇用減少
北朝鮮の非核化、所得主導の成長、不動産対策にもかかわらず天井知らずで急騰するソウル住居価格…。最近、韓国社会を揺るがすイシューだ。大統領府が野心的に推進した課題だが、外見が賑(にぎ)やかなだけで、昨年の文在寅政権スタート以後、これといった成果がないのが共通点だ。
北朝鮮の非核化を見れば、南北首脳会談、米朝首脳会談の時は韓半島に永久平和が来たような雰囲気であったが、結果は出ていない。それどころか、米国と歩調を合わせなければならない韓国政府は「民族同士」を強調して、南北連絡事務所開設と9月の南北首脳会談開催にだけ没頭している。国連など国際社会の対北制裁を破っても格別気にしていないようだ。
最低賃金の引き上げを通した所得主導の成長はより深刻だ。6月の地方選挙後、国民はグローバル経済の好況により景気が好転するだろうと希望を抱いたものの、所得主導の成長はかえって庶民の雇用を減らすだけになっている。最悪の雇用ショックだとの批判と、庶民の基盤崩壊を心配する絶叫に対しても、大統領府は政策基調に変化はないと主張しつつ、我田引水の広報だけに熱を上げている。文大統領はむしろ雇用の量と質が改善したという突拍子もない認識を示し、周辺の補佐陣は人のせいにばかりしている。8年ぶり最悪の雇用指標に続き、10年ぶりに最悪を記録した所得分配指標まで経済界の憂慮が深まりつつあるにもかかわらず、政権発足後の経済失政に対する反省の気配は見られない。
急騰するソウルの不動産価格はどうか。昨年、住居価格安定のために出した不動産対策はすでに失敗作であることを露呈した。今週ソウルのアパート価格は26週ぶりに最高値を記録した。8月第4週の上昇率は0・34%で先週の0・15%の倍以上だ。このままでは年間上昇率は何と17・68%に達する。現在の住宅価格の急騰が政府の間違った処方の結果であるにもかかわらず、その現実を認めないばかりか、今度は無住宅者と住宅所有者を敵味方に分けて1住宅所有者に対する財産税も強化する態勢だ。
国家は大学自治会の政策実験場ではないはずだが、1980年代の学生運動の幹部が大挙布陣している大統領府は(政府の力で抑え込まれた)過去の恨みを晴らすのに血眼のようだ。現政権は金持ちと庶民、住宅所有者と無住宅者、若い世代と既成世代など、本来は相互依存的な関係にあるのに対立関係の枠組みに固執して、他者に責任を転嫁している。
卑怯な政権になるのか、でなければ、誤りを認めて修正する勇気ある権力になるのか、賢明な国民の大多数は引き続き政府の政策を見守っているだろう。
(シン・ドンジュ国際部次長、8月27日付)
※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。